藤本慎司氏(第65・66期学会賞担当理事)コラム

2017年

ステンレス鋼ネタ(1)

ステンレス鋼はさびない、美麗、強いなどの特徴で、様々な用途に使われていることは、ご存じのとおりですが、思わぬ使い方もあるのでいくつかご紹介いたします。「さびない」、「美麗」ゆえ、食品関係が多いようです。 ネットショッピングを眺めていると、「ステンレス・アイス・キューブ」というのがありました。飲み物を冷やす時に氷を入れますが,溶けた水でだんだん薄まってきますね。そこで、冷凍庫で冷やしたステンレス氷を入れるわけです。重いし、熱容量も小さいし、と思いましたが、中に水が封入されており、その融解潜熱で冷却するので氷並みに冷えるというわけです。直接手で触ると危なそうなのでご注意。

ステンレス鋼ネタ(2)

「ステンレス石鹸」なる商品が販売されています。形は石鹸のような形をしていて、素材は何の変哲もないステンレス鋼のようです。軽量化のため内部は中空になっています。こすって汚れを落とすのが用途ではなく、たとえば魚など調理したら手が生臭くなりますが、これで水と一緒にこすると匂いが取れるというものです。ステンレス鋼の化学的性質を専門としている筆者には、これがどのような原理に基づいているのか、わかりません。どなたか教えていただけるとありがたいです。

ステンレス鋼ネタ(3)

2年位昔のことになりますが、アメリカのどこかの町のレストランでワインリストに「ステンレス・ワイン」があり、さほど高くはなかったのでオーダーしました。仲間と楽しく飲みましたが、ワイン通ではない筆者にはワインの質に関する評価はできません。ラベルには、仕込みから、醸造、熟成・保存をステンレス鋼製の設備で行い、材料由来の雑味の混入を抑えたようなことが書いてありました。近年の多くのワイナリーで合理化のために木などの伝統的な素材を使わなくなっていることは良く知られているところですが、あえてそれを売りにしています。銘柄を忘れましたが,カリフォルニアワインのようです。ご興味のある方はお試しあれ。