公開部門委員会
フレッティング疲労

企画

破壊力学部門委員会,疲労部門委員会合同

会場

名城大学天白キャンパス
4号館A棟4F 410講義室

日時

平成29年5月26日(金)13:00〜17:00

趣旨

今回は「フレッティング疲労」と題し,破壊力学部門と疲労部門の合同で公開部門委員会を企画いたしました.フレッティング疲労とは機械部品の締結部,嵌合部に生じる疲労現象として知られており,現在でも産業界においては重要な問題であり,学術的にも解明すべき課題が多く残されています.そこでこのたびの公開部門委員会では,フレッティング疲労の分野において多大な功績を挙げられた武藤先生,服部先生にフレッティング疲労に関するこれまでの知見をご紹介いただくとともに,フレッティング疲労強度評価手法,疲労設計手法についてご講演いただきます.また久保田先生には,フレッティング疲労に関する最新の話題についてご講演いただきます.疲労の研究者および強度設計にたずさわる方々をはじめ,多くの皆様のご参加をお待ちしております.

プログラム

  1. 13:00〜13:40 ビジネスミーティング
  2. 13:40〜16:30 講演および討論

(1) 13:40〜14:30

フレッティング疲労強度評価

長岡技術科学大学名誉教授 武藤 睦治 氏
フレッティング疲労は通常の疲労で予測されるよりもはるかに疲労強度が低くなり,部品が組み合わさった実際の部材においてしばしば破壊事故の原因となる.その対策としては設計上の配慮が最も有効である.本講演では,フレッティング疲労の基本的メカニズムについて説明し,フレッティング疲労とは何かについて理解していただくとともに,フレッティング疲労設計・対策に当たり重要となるフレッティング疲労強度の評価について,これまでの材料力学的並びに破壊力学的アプローチを含めた評価法を振り返るとともに,新たなフレッティング疲労設計手法の提案について紹介する.

(2) 14:40〜15:30

低サイクル/高サイクル一貫フレッティング疲労寿命評価法

静岡理工科大学 服部 敏雄 氏
フレッティング疲労の経過は,接触端の高応力部位からの早期微小き裂発生,摩耗とともにこの微小き裂の進展と,複雑な力学・材料科学の噛み合わさったプロセスを経て破壊に至っている.まずはこのき裂発生・摩耗・き裂進展メカニズムを忠実にシミュレーションする方法を提案し,次に,特定位置応力法という仮定を入れた現場設計者に使いやすい実践的なフレッティング疲労強度・寿命評価法について概説する.最後にこれらの方法によって予測したフレッティング疲労S-N曲線を,実験結果と比較し,それらの予測手法の妥当性について確認する.

(3) 15:40〜16:30

水素ガス中フレッティング疲労強度と不純物酸素の影響

九州大学 久保田 祐信 氏
SUS304オーステナイト系ステンレス鋼のフレッティング疲労試験を水素ガス中で行い,強度特性と疲労強度低下のメカニズムを解明した.さらに,不純物として微量の酸素を水素ガスに添加し,その影響を明らかにした.水素ガス中では,フレッティングにより表面の酸化膜が除去され,材料への水素侵入が容易となる.酸化膜の除去は,さらに接触面間の局所的な凝着を促進し,凝着部には高い塑性ひずみの繰返しが生じて,微小き裂の発生と水素に敏感な組織である加工誘起マルテンサイトの生成につながる.微量酸素の添加により,水素中フレッティング疲労強度は低下したが,微量の酸化物の生成により凝着が弱められ,わずかなフレッティング摩耗が生じることで接触面の応力状態が変化することが原因と考えられる.

3. 16:30〜17:00 総合討論