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第75期 日本材料学会 会長  多田 直哉



 
 会長挨拶


〜変化する社会における材料科学の役割と学会の新たな歩み〜

 
 平素より日本材料学会の発展にご支援を賜り,厚く御礼申し上げます. 現在の社会は,持続可能な資源循環や環境負荷低減といった課題に加え,国際情勢の不安定化,安全保障,さらには宇宙やサイバー空間といった新たな領域における人類の平和と権利の維持が緊密に絡み合った複雑な局面を迎えております.このような不確実性の高い時代において,学術組織である日本材料学会が果たすべき役割とは何か?会長として,改めてその使命を問う機会となっております.
 学会の本質的な使命は,人類の生活向上に寄与する新たな技術を「発見し,提案し,社会実装すること」にあると考えます.この使命を果たす上で,日本材料学会が持つ最大の強みは,その「横断性」にあります.材料科学に関連する機械,化学,電気,土木,建築など,多岐にわたる分野の専門家が集まる学会は,我が国においても稀です.技術の最終段階である「社会実装」においては,単一の分野の知見だけでなく,多角的な視点からの検証が不可欠です.他分野の知見を取り入れ,統合していくプロセスこそが,我々の存在価値であり,今後のさらなる発展のための重要な課題であると認識しております.
 さて,本学会の運営体制においても重要な決断をしました.近年,多くの学術団体において会員数の減少という共通の課題が存在し,日本材料学会も例外ではありません.この状況を打破し,持続可能な学会運営を確立するため,第75期より支部数を9から6へ再編成し,運営の効率化を図ることにしました.これは,単なる組織の縮小ではなく,事務局の負担軽減を通じて会員の皆様のご負担を減らし,より活発で質の高い学術交流の実現を目指した戦略的な施策です.
 大学,企業,公的機関等の所属を問わず,学術発展のための交流の場として学会の意義は揺るぎありません.今後,日本材料学会が「会員の皆様から選ばれる学会」であり続けるためには,前述の多分野連携による社会貢献をより明確に示し,その価値を社会に発信していく必要があります.
 新しい体制のもと,学会の信頼性と存在感をさらに高めるよう,誠心誠意務めてまいる所存です.皆様の温かいご支援と,さらなるご協力を賜りますよう,お願い申し上げます.