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第72期日本材料学会 会長  小川 武史



 
 第72期会長挨拶


 
 近年の自然災害多発は収まる気配がありません.コロナ禍は終わりつつありますが,ウクライナの戦争は予断を許さず,世界の経済活動に多大な影響を与えています.人類にとって最も重要な「安全」が様々な形で脅かされています.日本材料学会は,「材料の諸性質を明らかにして材料の開発ならびに合理的な使用を期する」を目的としており,材料学の観点から「安全」に資することが大きな目標です.
 日本材料学会は,1952年に前身である日本材料試験協会として発足以来,70年余りの歴史と伝統を有し,機械,金属,化学,電気,土木,建築,農学など多岐にわたる分野の会員より構成された非常にユニークな学会です.
 本会の活動は25分野で構成されている部門委員会と9支部によりなされています.部門委員会では,各分野における専門家が集結し,最新の研究情報交換,調査研究,出版,集会,講習会および見学会などの各種行事を実施して,精力的な活動を行っています.これらは材料学の発展に大きく寄与してきているといえます.支部では多様な分野の構成員が協力して各種支部活動などを通して分野横断的な交流がなされています.
 しかしながら,産業界および大学の状況の変化により,会員数は微減を続けています.減少を止めるべく学会活動をより活性化させるため,異分野連携および融合,会員サービス強化,広報強化を主軸とする活性化策の検討および実施を行っています.支部または部門間での連携事業,秋の一大イベントである「材料WEEK」などはその一環で創出された活性化策の事例です.
 2022年度から、若手の会員が研究発表会あるいは講演会を企画,開催する場合,「あなたのミニ集会開催を補助します」という制度を設けて,費用面の補助を行い,みなさまの自由闊達な集会を応援しています.コロナ禍により活動が停滞しておりましたが,第72期には再開が本格化します.コロナ禍は悪いことばかりではなく,オンライン形式という効率的な学会活動形態を急速に普及させました.コロナ禍が終わっても,対面とオンライン形式を併用したハイブリッド形式の開催を継続し,対面形式も大切にしながら,新しいスタイルの講習会および講演会を模索して積極的に活動できる体制を構築したいと思います.
 第72期の総会では,ハイブリッド形式を維持しつつも,各講演室では対面で激論を戦わせる活気が戻ってきました.懇親会は立食パーティ形式になり,大いに盛り上がりました.これまで行ってきた施策を継続するとともに,より実効性のある取り組みを積極的に行い,今後の新しいステージでさらに発展できるように努力します.
 材料学会の発展と安全な社会の構築を目指して,部門委員会,支部,本部の皆様とともに一丸となって歩んでいきたいと思います