本学会には,以下の部門委員会があります.
部門委員会への入会は本会会員であることが必要です。未入会の方は入会手続きをおとり下さい。入会案内
部門・研究委員会名 |
委員長(所 属) |
活動報告 |
植松美彦(岐阜大学) |
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駒崎慎一(鹿児島大学) |
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西山峰広(京都大学) |
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坂井田喜久(静岡大学) |
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井上博之(大阪府立大学) |
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勝見 武(京都大学) |
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田淵敦士(京都府立大学) |
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高木知弘(京都工芸繊維大学) |
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林 為人(京都大学) |
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小林孝一(岐阜大学) |
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コンクリート用材料部門委員会 |
熊野知司(摂南大学) |
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仲井朝美(岐阜大学) |
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山際謙太(労働安全衛生総合研究所) |
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松村 隆(電気通信大学) |
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若杉 隆(京都工芸繊維大学) |
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宮下幸雄(長岡技術科学大学) |
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堀中順一(京都大学) |
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楳田 努(大阪公立大学) |
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有本享三((有)アリモテック) |
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松中大介(信州大学) |
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市野邦男(鳥取大学) |
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田中勝久(京都大学) |
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大塚雄市(長岡技術科学大学) |
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大沼正人(北海道大学) |
部門担当者ページ
☆☆部門から本部へ提出する各種申請書等ダウンロードできます。☆☆☆
(令和6年6月現在)
本会に設置されている各部門・研究委員会は,各種材料の構造,物性ならびにその応用に関する研究を目的として日々活発な活動を行い,顕著な成果を挙げております.
以下に,それぞれの委員会の発足から現在までの活動内容および今後の活動方向を紹介するとともに,加入を希望される場合の要領についてもお知らせいたします.
疲労部門委員会 |
委員会の沿革と活動内容
本委員会の設立は,本会の前身である日本材料試験協会創立の翌年,昭和28年5月であり,本会で最も長い歴史を有している.本委員会設立以来,既に70年経ち,委員も設立当初の30名足らずから,現在では年度によって多少増減はあるものの約200名程度となり,本会において最大の委員会として発展を続けている.
本委員会では,疲労事故の防止と疲労問題の解決に向けて,大学・研究所のみならず,企業の設計現場において疲労の問題に携わっている幅広い関係諸氏が多数参加され,活発な活動を行っている.活動内容としては,既存の材料のみならず新素材も含め,それらの疲労現象の本質や疲労破壊の機構に関する基礎的研究から,現場における疲労設計技術の開発に関する応用的研究に至るまで,広範な疲労に関する課題を取り上げて情報交換を行うとともに,社会的ニーズにも応えうるような活動を行っている.原則として年5回開催している委員会では,委員会運営や疲労研究に係わる諸事項を審議するとともに,最近の話題を取り上げた研究討論会を企画している.また,企業や研究所等における関連施設の見学も随時実施している.
本委員会による企画事業
● Fatigue2022+1
疲労に関する国際会議「Fatigue」は,1981年に第1回がStockholmで開催され,1990年の第4回が本委員会の主催でHonoluluにて開催された.2022年10月にFatigue 2022として第13回の会議が本委員会主催で広島にて開催予定であったが,コロナウィルスの流行により2023年に延期となり,2023年11月6日〜10日の間,広島国際会議場にてFatigue2022+1として開催した.世界各国から疲労に関する研究者や技術者が集まるビッグイベントであり,世界20ヵ国から350名ほどの参加があり,活発な意見交換が行われた.2021年には本委員会の主催で超高サイクル疲労(Very high cycle fatigue)に関する国際会議VHCF8が開催されるなど,国際交流活動についても活発に企画運営している.
●疲労シンポジウム
本会の破壊力学部門委員会と協調し,隔年開催で秋に「疲労シンポジウム」を企画している.同シンポジウムでは,特に若手研究者の今後の更なる活躍を奨励するため,当該年度末で37歳未満のシンポジウム講演者のうち審査により優秀と認められた方々を「優秀研究発表賞(学術分野,技術分野)」として表彰し,賞状を授与している.2024年には9月18,19日に函館で開催する予定となっている.また,平成20年以降,3年間隔で中国の研究者と合同で日中合同疲労シンポジウムを併設している.2020年9月に第5回日中疲労シンポジウムを開催予定であったが,コロナウィルスの流行により開催中止となった.今後の動向を注視しながら次回の開催を検討中である.
●初心者のための疲労設計講習会
本講習会は,疲労問題に直面している若手技術者,あるいはこれから直面すると予想される技術者を対象に企画したものである.本講習会では,疲労の基本現象から実際の設計手法に至るまでの基礎をできるだけわかりやすく講述し,また演習も実施することにより,基礎的な疲労設計について修得いただけるようにしているので,積極的にご参加願いたい.なお,本会が運営する技能検定制度で材料試験士(疲労試験)の1級を取得するには,本講習会を修了している必要がある.
●通常総会・学術講演会併設行事
本会の通常総会・学術講演会の併設行事として,関連部門委員会とも連携を取りながら公開研究討論会,あるいは学術講演会ではオーガナイズド・セッションも企画担当し,学術講演会活性化に対しても積極的に貢献している.
分科会活動
本委員会には,特定のテーマを集中的に討論できる場を提供するため,分科会を設置している.現在は,各種表面改質材の疲労限度推定式の確立を目的とした「疲労に関する表面改質分科会」,主に自動車部材の接合部の疲労に対する信頼性問題を検討する「接合材の疲労強度に関する研究分科会」が活動しており,各分科会において活発な研究・検討がなされている.2023年12月には,新たな試みとして第1回表面改質学生シンポジウムを開催した.
出版等事業
●一般図書
本委員会が中心となってこれまでに出版してきた主な書籍としては,「疲労試験便覧」,「金属の疲労」,「金属材料疲労設計便覧」,CJMR Vol. 1, Current Research on Fatigue Cracks,CJMR Vol. 2, Statistical Research on Fatigue and Fracture,CJMR Vol. 14, Cyclic Fatigue in Ceramics,「疲労設計便覧」,ならびに「初心者のための疲労設計法(第4 版)」がある.また,後述のデータベースに基づいて「金属材料疲労強度信頼性設計資料集」も発行している.さらに,1955年から2001年にかけて約50年分に及ぶ「材料の疲労に関する研究の趨勢」を毎年編集・刊行してきた.この書籍の特徴としては,疲労研究の歴史的推移が明確に把握できるだけでなく,掲載の研究論文については抄録を含む書誌情報があるため,疲労研究の実施に際して関連情報を容易に入手できるというデータベース的な役割も果たしてきた.本書についてはバックナンバー(一部品切れ)があるので,疲労研究の動向にご関心のある方は是非これらをご活用いただきたい.また,平成27年度には200語以上の金属疲労に関する専門用語を網羅した「初心者のための疲労用語の解説」を新たに発刊した.本書はCD-ROM 媒体であり,パソコンを利用したブラウザ閲覧により知りたい用語を簡単に検索可能であり,さらに各用語は相互にリンクしているため,クリック一つで波及的に全体が理解できる仕組みとなっている.疲労問題に関する初学者や疲労設計に携わる技術者に是非ご活用いただきたい.
●データベース
本会の信頼性工学部門委員会との共同により1982年に「金属材料疲労強度データ集」(1〜3巻)を,1992年には「同データ集」の4巻,5巻を,さらに1984年には「金属材料疲労き裂進展抵抗データ集」(1巻および2巻)を,それぞれ出版した.これらのうち疲労強度データ集に収録されたデータについては,本委員会に設けられたデータベース管理委員会がその後デバッグ作業を精力的に行い,既刊の1〜5巻を再編集したDatabook on Fatigue Strength of Metallic Materials (Vol. 1〜548Vol. 3)として,平成8年に本会とエルゼビア社による共同出版を行った.これにより,頒布も国内のみならず広く海外にも向けて開始し,好評を博している.また,本会の信頼性工学部門委員会と共同で,全面改訂版(1996年版)疲労データベースの全ての内容をサーバーへ移植し,インターネットを介してデータを検索し,解析するための「Web 版疲労データベースシステム」を完成させ,有償にて頒布している.現在,先進材料の疲労強度ならびに超高サイクル領域の疲労強度データの収集,公開に向けた作業を行っている.また,セラミックス強度に関して収集したデータをもとに,CeramicsStrength Database (Vol. 1)も刊行している.なお,上記のいずれのデータ集についても,それに収録された全データはコンピュータ可読のデータベース化がなされており,電磁気媒体による頒布も実施していることを付記する.
●学会標準
本会の創立50周年記念事業の一環として学会標準の策定も行った.本委員会としては,平成13年に「圧子圧入法によるセラミックスの残留応力測定法」を,また信頼性工学部門委員会と共同で平成14年には「金属材料疲労信頼性評価標準−S-N 曲線回帰法−」をそれぞれ発刊している.なお,後者については改訂版を発行するともに,平成19年にその英文版Standard Evaluation Method of Fatigue Reliability forMetallic Materials-Standard Regression Method of S-NCurves を出版した.多くの方々にご利用いただき,これらの標準に対して貴重なご意見等を賜りたい.
●国際・国内規格対応委員会
国際規格ISO,国内規格JISについて検討する委員会を設置し,各規格の改定や設置についての検討を行っている.回転曲げ疲労試験規格の原案を日本規格協会に提出し,ISOに対応した新たなJIS規格として審議中である.今後も平面曲げ疲労試験のJIS規格などについて審議する予定である.
本委員会への加入方法
新委員の委嘱は委員会の承認を得ることになっている.ただし,本委員会の委員となるには本会の会員でなければならない.また,委員会費として個人委員として加入される場合は年間1,500円を,企業委員として加入される場合は年間25,000円を,それぞれ納入いただくことになっている.
高温強度部門委員会 |
沿革と趣旨
本会は,1954年に「クリープ部門委員会」として発足した.クリープに限らず高温疲労など高温強度全般にわたる問題を扱うようになったことから,1959年に「高温強度部門委員会」と改め,今日に至っている.この間,我国を代表する多くの研究者・技術者を輩出し,我国のみならず世界における高温強度研究をリードしてきた.また,高温機器の信頼性向上など産業界の発展にも寄与してきた.本会は“学会活動を通じた社会貢献”を趣旨としており,産学交流の機会を提供すると共に,企業や大学における高温強度に係わる技術の伝承・習得を支援している.以下に,その活動の概要を紹介する.
部門委員会および表彰
制度本会の活動内容を委員の皆様に協議していただく場として,部門委員会を年5回開催している.同時に,講演会を開催しており,活発な討論の場を設けている.また,将来性に富む研究成果を挙げた人に「躍進賞」,研究開発において顕著な業績を挙げた人に「貢献賞」,さらに,社会の発展および人材育成に功績を残した人に「功労賞」を設け,毎年,後述の高温強度シンポジウムの場で表彰している.昨年,第34回躍進賞を受賞されたのは茂山治久氏(電力中央研究所),貢献賞は張聖徳氏(電力中央研究所),功労賞は宮原光雄氏(日鉄工材株式会社),緒方隆志氏(千葉工業大学)であった.また部門委員会運営への尽力,高温強度分野の発展および人材育成への貢献されたことを表彰する「特別表彰」を,株式会社神戸工業試験場殿,および,日鉄テクノロジー株式会社殿が受賞された.
研究発表
毎年11月下旬に「高温強度シンポジウム」を開催している.学界のシーズと産業界のニーズの交流の場として重要な行事であり,例年,活発な議論が行われている.また,本シンポジウムは人材育成の場としても重要であり,若手の優秀な発表に対して「ベストプレゼンテーション賞」を設けている.本シンポジウムは1959年に始まり,昨年,第61回を朱鷺メッセ(新潟県新潟市)において対面とオンラインのハイブリッド形式で破壊力学部門委員会主催の破壊力学シンポジウムと合同で開催した.2016年度までの講演前刷原稿を収録したDVDは,本分野の研究の趨勢や変遷を知る貴重な資料であり,本分野に携わる方に購入をお勧めする.
その他,研究発表の場としては,毎年5月に開催される学術講演会のオーガナイズドセッションがある.さらに,2021年度から学生を中心とした若手研究者の研究発表・情報交換会を開催しており,オンラインで6回,ハイブリッドで2回を開催している.各会とも5件程度の研究発表に加え,中堅企業研究者による特別講演を毎回実施し,若手研究者の知見収集・情報交換の場を提供しており,今期からは部門委員会と同日に開催する恒例行事へと発展させる予定である.また,論文投稿の場としては,会誌「材料」に2年に1回のペースで「高温強度特集号」を企画し,最新の研究成果を発信しているので,活用いただきたい.最新の特集は2023年2月号に掲載されている.
ワーキンググループ活動
本会では,ワーキンググループ活動を積極的に推進している.活動は課題研究あるいは技術伝承を目的とするものと,試験法標準およびデータベースを社会に提供するものとに大別される.これらの活動に興味をお持ちの方は是非,参加いただきたい.また,活動の成果は報告書として発刊されているので,興味のある方は購入されたい.これまでに設立されたワーキンググループを目的別に列挙する(括弧内は設立年,◎は現在も活動中).
・課題研究あるいは技術伝承を目的とするワーキンググループ熱応力と熱疲労(1970),高温用材料の組織と強度(1970),◎非弾性解析(1982),高温疲労破損のクライテリオン(1986),金属基複合材料の高温強度(1991),◎高温材料ミクロ組織・強度特性調査(1994),◎超合金とそのコーティング材の高温強度評価技術(1997),◎TiAl合金の高温強度評価(2017),◎樹脂の強度評価(2020),◎火力プラント材料(2021)
・試験法標準およびデータベースの提供を目的とするワーキンググループ高温疲労試験のあり方(1982),寿命・余寿命評価法検討(1991),はんだの強度評価法(1997),高温低サイクル疲労試験法標準(2000),◎損傷評価(2006),微小サンプルクリープ試験法(2006),高温き裂進展試験法(2008),余寿命診断技術評価(2011),◎試験規格(2018),◎実機診断のための微小サンプル試験法(2022).
試験法標準策定および連載講座発信
ワーキンググループ活動等を通じて,これまでに作成した試験法標準およびデータベース等を以下に列挙する(括弧内は発刊年).「はんだの引張,クリープ,低サイクル疲労,クリープ疲労試験法標準および同データベース」(2000,2004),「高温低サイクル疲労試験法標準」(2019年改定),「微小サンプルクリープ試験法標準」(2012),「電子後方散乱回折(EBSD)法による材料評価のための結晶方位差測定標準」(2016),「高温クリープおよびクリープ疲労き裂進展試験法標準」(2016),「はんだのミニチュア試験法標準」(2020),「現地レプリカ法マニュアル」(2021),「はんだの引張,クリープ,低サイクル疲労データベース」(2022).
また,会誌「材料」には,時代の要請に応じた課題について第一線の研究者による解説を連載講座として発信し,2023年12月号からは「高温材料強度の最前線と今後の課題」と題した4回の連載講座を掲載した.これまでに連載された課題を列挙する(括弧内は発刊年).
「構造物の高温強度について」(1969),「金属および合金の高温変形挙動」(1981),「高温機器設計の現状と将来」(1987),「高温変形のコンピュータシミュレーション」(1995),「高温破壊のコンピュータシミュレーション」(1995),「超あるいは極の技術と高温強度」(2002),「熱疲労破壊の新展開」(2007),「高温機器における劣化・損傷の検出と寿命診断」(2009),「高温機器における余寿命診断技術開発の最前線」(2012),「伝承すべき高温材料試験技術とその現状」(2015),「高温強度試験にかかわる標準化・規格化への取り組み」(2017),「溶射コーティングの歴史と展望」(2021),「高温材料強度の最前線と今後の課題」(2023).
さらに,本会またはワーキングが出版した教科書や報告書等の図書がいくつか発行されているので,内容は本会ホームページを参照されたい.
国際交流
1992年から中国機械学会高温強度部門と日中高温強度シンポジウムを開催してきた.第1回(1992年洛陽),第2回(1995年長岡),第3回(1998年南京),第4回(2001年つくば),第5回(2004年西安),第6回(2007年仙台),第7回(2010年大連),第8回(2013年旭川),第9回(2016年長沙),第10回記念大会(2019年鹿児島)と回を重ね,第11回を2023年10月27〜31日に中国・成都で開催した.第11回のシンポジウムでは,前述のワーキンググループの中から5つのワーキンググループの主査が,活動状況を報告した.中国側からは,活動内容自体に加えて,各ワーキングの共同研究体制システムについて賞賛を頂いた.次回は2026年に金沢にて開催予定である.
技術伝承支援
企業や大学において高温強度に係わる技術を伝承・習得することが難しくなっているため,本会はこれを支援すべく,「若手研究者および技術者のための高温強度講習会」を2008年(第1回),2010年(第2回),2012年(第3回)に明石市で,2014年(第4回),2016年(第5回),2018年(第6回)に(株)神戸工業試験場播磨事業所を借用して開催した.2日間で第一線の研究者から高温強度の基礎から応用を学び,関連する実験技術の基礎を習得できるように企画されている.2016年からは,3日目に参加者が実際に高温引張試験,クリープ試験,低サイクル疲労試験の各装置を操作する講義を新たに追加し,実習を充実させた講習会を実施している.第7回を2021年に開講したが,新型コロナ禍のために実習無しの完全オンライン形式とした.第8回は2023年9月14日-16日に(株)神戸工業試験場播磨事業所にて対面とオンラインのハイブリッドで開講し,3日目の実習を再開した.また,高温強度講習会と隔年で開催しているEBSD法による損傷評価講習会の第6回を2025年10月の材料WEEKに合わせて開催予定である.
技術相談窓口
2014年より,技術相談窓口を本会ホームページ上に開設した.高温強度に関する問題について,本会委員から選ばれた回答者が相談に乗るものである(相談は無料であるが,回答内容およびそれに伴い発生した相談者の業務上の責任は負わない).気軽にご相談頂きたい.
以上,本会の活動を紹介したが,より多くの皆様が入会されることを期待している.現在の会員構成および人数は,一般会員(個人委員)73名,法人会員34団体(全登録者数86名),全会員数159名である.ご興味のある方は,本会ホームページにアクセスされたい.
高温強度部門委員会ホームページ
https://hightemp.jsms.jp/index.htm
PC構造部門委員会 |
PC構造部門委員会は,プレストレストコンクリート(以下PCと略記)構造と鉄筋コンクリート(以下RCと略記)構造,ならびにPCおよびRC構造技術を土木・建築領域にとらわれず,調査・研究することを目的としている.現在,委員会会員は37名である.
委員会
年3回程度開催し,主に,新技術と最新の研究動向を外部から招いた講師に紹介していただき,これに基づき多角的な議論を行っている.ここ数年のテーマを以下に示す;
2019年度:高谷哲氏(京都大学)「コンクリート中における鉄筋腐食のメカニズムと防食方法」,岩清水隆氏(竹中工務店株式会社)「日本建築学会「暑中コンクリート工事における対策マニュアル2018」について:マニュアルの概要と適用条件」,半井恵介氏(JR西日本株式会社)「日本コンクリート工学会近畿支部「暑中コンクリート工事の現状と対策に関する研究専門委員会」の成果(ガイドライン)報告」,島田安章氏(オリエンタル白石株式会社)「PCaPC技術により実現した「伝統的な教会の姿」および「大空間を有する学校建築」の施工事例」,永元直樹氏(三井住友建設株式会社)「橋梁建設の生産性向上と耐久性向上に関する取り組み」など
2020年度:川崎佑磨氏(立命館大学)「立命館大学コンクリート研究室と研究事例紹介 〜コンクリート中で発生する鉄筋腐食過程のモニタリング〜」,赤澤資貴氏(竹中工務店株式会社)「歴史的建築物の外壁を保存しながらの建替を実現した構造形式」,「巨大地震に対応する免震構造」,「複雑な形状を有するホールの構造設計」
2021年度:小原拓氏(東京工業大学)「地震後の機能維持を可能とする損傷制御型鉄筋コンクリート造壁の損傷度に関する研究」,柴山淳氏(電力中央研究所)「フライアッシュをベースとしたセメント不使用次世代コンクリートの構造性能」,松原喜之氏,大島克仁氏,西野元庸氏(住友電気工業株式会社)「高機能PC鋼材とそのシステムに関する最新技術」,小室努氏(大成建設株式会社)「高強度鉄筋を利用したPCPCa梁の開発及び適用」
2022年度:小坂崇氏(阪神高速道路株式会社)「ワッフル型UFC床版の性能照査型設計法の提案」,福田顕議氏(オリエンタル白石株式会社)「岩国市立東小中学校 PCaPCで作るフィーレンディール架構の設計・施工報告」
2023年度:生田麻美氏(明石工業高等専門学校)「接合部の条件が異なるプレキャスト・プレストレストコンクリート柱の耐震性能と損傷に関する研究」,高木祐介氏(株式会社IHIインフラ建設)「プレキャストPC床版の橋軸方向機械式継手の耐荷性および疲労耐久性に関する研究」
現場あるいは工場見学会
年に1回ないし2回,PC構造技術に関する見学会を開催してきたが,しばらく開催していない.過去の開催履歴としては,2011年3月に三重県の富士ピー・エス工場,2012年3月に神鋼鋼線工業(株)尼崎工場,2013年11月に新名神高速道路武庫川橋の現場,2014年10月に吹田市立スタジアムの現場,2015年6月に新名神高速道路の京田辺高架橋の現場見学である.
(委員会ホームページ https://pckouzou.jsms.jp/index.html)
高分子材料部門委員会 |
本委員会は1950年にレオロジー部門委員会として発足し,日本レオロジー学会が設立された後,1983年に名称を高分子材料部門委員会と改め,活動範囲を広げつつ現在に至っている.本委員会は,高分子材料に関する学術的な諸問題と応用分野における関連技術の向上を通じて高分子材料が様々な場面において社会に真に貢献する材料となることを目的として活動してきた.高分子材料は,金属材料および無機材料と並ぶ三大構造材料のひとつである.近年,材料としての耐久性・信頼性が飛躍的に改善されたが,まだ多くの未解決の課題を抱えている.この問題の解決は本委員会の中心的関心事項のひとつである.さらに,最近では技術の高度化および多様化に伴い,種々の機能をもつ高機能性高分子材料の開発が期待されている.また,地球環境保護の観点から,リサイクル高分子,バイオマスプラスチック,および生分解性プラスチックの開発も進んでいる.本委員会では,構造材料と機能材料という高分子材料の二つの側面を,有機的に関連づけ広く深く討論する場を提供している.2023年度の当部門委員会の活動は以下の通りである.
第196回高分子材料部門委員会 第111回高分子材料セミナーを6月19日(月)に大阪電気通信大学で開催した.
セミナーの主題を「高分子材料の力学物性最前線」とし,高分子材料の物性研究の第一線の講師3名による高分子材料の力学物性に関する最新の研究成果の講演を拝聴した.講演内容は以下の通りである.
「セルロースナノファイバー分散系におけるスケーリング(仮)」
九州大学大学院農学研究院 巽 大輔 氏
「塩添加によるポリメタクリル酸メチルの吸水が応力ひずみ曲線へ及ぼす影響」
金沢大学理工学域 伊藤 麻絵 氏
「大変形ガラス状高分子の破壊特性の異常性」
大阪電気通信大学工学部 吉岡 真弥 氏
第197回高分子材料部門委員会 第112回高分子材料セミナーを9月8日(金)に滋賀県立大学で開催した.セミナーの主題を「高分子の構造と物性・機能」とし,以下の2件の講演を行った.
「セルロースナノファイバー分散系におけるスケーリング」
大阪公立大学工学研究科 堀邊 英夫 氏
「環状高分子の結晶化挙動」
滋賀県立大学工学部 竹下 宏樹 氏
隔年で開催している「高分子材料・炭素繊維複合材料の耐久性評価」に関する講習会を11月10日(金)にオンラインで開催した.6名の講師による以下の講演を行った.
「工業製品・部材の長もちの科学」
(株)KRI,解析研究センター 本間 秀和 氏
「エントロピーを指標とする高分子材料・CFRPの耐久性評価」
東京理科大学 小柳 潤 氏
「プラスチック用添加剤の機能と実用における注意点」
(株)ADEKA樹脂添加剤開発研究所 大 直子 氏
「ゴムOリングの材料設計とシール寿命予測手法」
藤倉コンポジット(株) 堀田 透 氏
「プラスチック製品を長く安全に使うための技術」
東京都立産業技術研究センター
(元)(株)ブリヂストン 町田 邦郎 氏
「ケミルミネッセンス(CL)を利用した酸化劣化評価」
東北電子産業(株) 佐藤 哲 氏
第198回高分子材料部門委員会 第113回高分子材料セミナーとして「頑張る若手の”hola(オラ)が研究”自慢8」を12月4日(月)に大阪大学中之島センターで開催した.若手研究者が最新の研究成果について発表した.研究発表14件の中から,厳正なる審査を経て以下の2名に若手優秀発表賞を授与した.
「スチルベン添加PMMAにおける引張特性の光制御」
名古屋工業大学大学院 森島 春菜 氏
「ポリドメイン液晶エラストマーのき裂特性の解析」
京都大学大学院 今井 駿介 氏
また,上記のセミナー,講習会の他に,編集委員会との連携のもと,隔年で「高分子」特集を掲載しており,2025年1月号の会誌「材料」に「高分子」小特集を掲載する予定で作業を進めている.
これらの活動を通じて,高分子材料の製造,構造と機能,物性と加工についての情報と討論が深まり且つ広がり,技術の発展に寄与することを願っている.関連分野の研究者・技術者のますますの参加を期待する.
X線材料強度部門委員会 |
本委員会の沿革と活動目的
X線材料強度部門委員会は,1961年(昭和36年)にX線応力測定部門委員会として発足し,1965年と1977年に委員会の名称を変更して現在に至り,2023年で設立62年を迎えた.本委員会は,主にX線などの電磁波の回折現象を用いて結晶のひずみを直接測ることで材料強度や残留応力にかかわる諸現象を解明する学術分野,すなわちX線材料強度に関する学術の発展および技術の向上に寄与することを目的としている.
企画事業と活動内容
企画事業は,毎年,定例委員会と総会講演会,X線材料強度に関するシンポジウム,X線材料強度に関する討論会,見学会,勉強会,小委員会活動などを行っている.2023年度の事業は次に示す通りで,これまで実施してきた事業の詳細は,委員会HP(https://x-ray.jsms.jp/kitei/x_history.html)をご参照下さい.
【定例委員会】は,年3回開催する.定例委員会は,ビジネスミーティングと講演会の2部構成で実施する.2023年度は,以下の3回実施した.【総会講演会】は,年1回程度オーガナイズドセッションを開催する.2023年度は5月30日に「非破壊材料強度評価」と題して7件の講演があった.20名が参加し,千代隼久氏(都市大院)が優秀講演発表賞を受賞した.
【X線材料強度に関するシンポジウム】は,年1回のべ2日間で開催する.2023年度は第57回を山梨県立図書館で7月20 − 21日に開催し,47名が参加した.講演数は24件で,放射光・中性子,塑性変形,表面改質I,表面改質II,X線その場測定,X線応力測定,高分子の7分野に分けて熱心な討論がなされた.毎年,学生と一般の部から特に優秀な発表に対し,最優秀発表賞を授与し,12月開催の討論会において表彰している.2023年度受賞者は,学生の部「X線残留応力測定によるレーザ焼入鋼の硬化層深さ推定式の妥当性評価」鳥井麟太郎氏(静大院),一般の部「幅広い応力三軸度を評価する引張試験方法の検討」柴山由樹氏(JAEA)の2名である.
【X線材料強度に関する討論会】は,年1回開催する.2023年度は第60回で「電動化社会に向けた強度・非破壊評価における研究開発と技術課題」と題し,ウインクあいちで12月1日に開催し,招待講演5件,19名が参加し活発な議論が展開された.講演は,「自動車業界が予期すべき社会トレンドと将来の自動車向け材料の展望」伊藤登史政氏(KPMG コンサルティング),「偏極パルス中性子イメージングによる磁気製品・磁性材料中の磁場観察」廣井孝介氏(J-PARC センター),「その場中性子回折による鉄鋼材料の集合組織変化観察」橋拓暉氏(デンソー),「放射光X線による電動化基盤部品の信頼性評価」木村英彦氏(豊田中研),「CFRP と金属の接合」田邉大貴氏(神戸工専)の5件を実施した.
【見学会】は,年1回程度開催する.2023年度は,あいちシンクロトロン光センターを11月30日に訪れた.11名が参加し,主に産業用途として稼働している小型放射光施設の詳細を見学する機会を得た.
【X線材料強度に関する勉強会】は,会員向けに本委員会に関連した勉強会を適宜行っているもので,2021年度から開始した事業である.2023年度は,2022年度に行った勉強会で再開希望のあった3回と,以下の第9回〜第11回の合計6回を実施した.・「 薄膜応力測定1」(第9回勉強会,12月12日開催),講師は日下一也氏(徳島大)で,17名が参加した.「薄膜応力測定2」(第10回勉強会,1月18日開催),講師は日下一也氏(徳島大)で,18名が参加した.「薄膜応力測定3」(第11回勉強会,3月7日開催),講師は日下一也氏(徳島大)で,18名が参加した.
【小委員会活動】は,適宜,委員会有志が発議し,定例委員会での審議を経て認められた小委員会活動を行っている.2023年度は,cos α法によるX線応力測定法のJIS化と高分子材料のX線応力測定法標準に関する2つ小委員会が活動中である.また,これまで実施された小委員会活動の成果は以下の報告書の形で会員に頒布した.
出版等事業
【小特集号】は,毎年4月号にX線小特集号を刊行する.2023年度は5件が掲載された.
【書籍】これまでに,「X線応力測定法,養賢堂),「X線材料強度学-基礎編・実験法編-,養賢堂)を出版し,X線応力測定に興味のある研究者や技術者に基礎と応用に関する知見を提供している.
【学会標準】小委員会活動を通じて,精度の良いX線応力測定を行うために必要な測定方法の標準化に取り組み,学会標準の形で以下の学会標準を刊行し,出版物を頒布中である.
表彰制度
X線材料強度に関する研究および技術において顕著な業績を挙げた方や将来の発展が期待される成果を挙げた方に対して部門委員会賞(業績賞,研究・開発賞,功労賞)を設け,選考委員会での審議を経て部門委員会賞を授与している.2023年度は,次の1名に功労賞が授与され,第60回討論会で表彰し,第207回の定例委員会で記念講演会を開催した.・受賞題目「マイクロメカニックスを用いた母相樹脂応力配分係数の導出と短繊維強化樹脂材料のX線応力評価に関する研究」清水憲一氏(名城大)
本委員会への加入方法
本委員会への入会は,日本材料学会の正員である方で,X線材料強度部門委員会に所属する委員の推薦と承認が必要です.委員活動を行うためには,資料作成費が必要です.大学や公的機関および中小企業基本法で定義される中小企業に所属する方は毎年2,000円,一般企業に所属する方は毎年30,000円を資料作成費として納入頂きます.なお,一般企業の方は,最大3名の方が委員として活動できます.
木質材料部門委員会 |
木質材料部門委員会は,木材および木質材料に関する研究の推進と情報の交換を目的としている.当委員会は,昭和37年(1962年)4月に理事会の承認を得て発足し,同年5月には第1回の委員会が開催されている.木材,および木材を原料とする木質材料や紙は,古くから建築,家具,楽器,包装や情報・文化の伝達材料として人々の生活を支えてきた.木材は基本的に再生産可能な資源であり,これを有効に利用することによって,永続的な利用が可能な極めて有用な材料になり得る.このような木質材料の利用が,人類の生存にとって極めて重要であるとの認識が近年高まりつつある.木材は,人類にとって最も身近な材料の一つである.木材が本来的に持っているヒューマン・フレンドリーな面は,人類との長い関わりによって築かれてきたものであり,今後も科学的裏付けの蓄積によって増々重視される特徴である.一方,地球上で最も豊富なバイオマス資源である木質バイオマスの生物・化学変換による化学品・エネルギー等の生産や高機能性・高耐久性木質複合材料の開発など,以前にも増して多くの異なる分野からの研究開発が必要となってきている.このような状況の中,多様な専門分野の研究者や技術者が集まる本委員会の重要性は極めて高い.木質材料部門委員会は,木材および木質材料に関係の深い大学や研究機関の研究者および企業の研究者・技術者など,約50名の会員から構成されている.会員相互の連携の強化による研究・開発の更なる活性化と利便性の向上を図ることを目的として委員会の企画・運営を行っている.これをより円滑に進めるために,本委員会では委員長の下に運営委員会を設け,原則として年3 回の定例研究会を開催している.研究会には多くの会員および学生の参加を促すとともに,参加できなかった会員には講演要旨集を配布している.また,本委員会はその設立目的を達成するために,発足以来,会誌「材料」に特集「木質材料」の企画および発行を行っている.2008 年度からは,木質材料に関する優れた業績に対して,本委員会から木質材料部門委員会業績賞を授与することとした.木材などバイオマス系の天然素材をベースとした材料利用の新規開拓のためには,それらが生来有する階層的構造を正確に捉えた上で,潜在特性を発掘・解明していく基礎研究が重要である.分子レベルでの化学的改質からバルク体レベルでの応用利用に至る幅広い領域を網羅し,リニューアブル・エコ素材としての木材利用を多角的に促進させることが,木質材料部門委員会の役割である.以下に,2023 年度の委員会活動について記す.
【定例研究会】
第312回定例研究会
2023年6月30日:オンライン開催(Zoomミーティング)
『木造住宅の耐震性能と大地震後の継続使用』
角田功太郎氏(奈良女子大学)
『分散・会合プロセスとCNF構造の相関解析』
大長一帆氏(東京大学)
第313 回定例研究会(材料WEEK 公開部門委員会)
2023年10月10日:オンライン開催(Zoomミーティング)
『森を抜けて街に出る-セルロースナノファイバー材料開発から学んだこと-』
矢野浩之氏(京都大学生存圏研究所)
第314 回定例研究会
2024年1月31日:オンライン開催(Zoomミーティング)
『近赤外ハイパースペクトラルイメージング法を用いた吸湿・脱湿過程における木材内部の水分分布のモニタリングおよびモデリング』
馬 特 氏(名古屋大学 大学院生命農学研究科)
『スギ材の持つ多様な機能を評価する』
中川 美幸 氏(森林研究・整備機構 森林総合研究所)
【業績賞】
2023 年度の業績賞は,審査委員会における審議の結果,該当なしとした.
【委員長および運営委員会】
委員長:
梅村 研二(京都大学 生存圏研究所)
運営委員会委員:
松尾 美幸(京都大学 生存圏研究所:庶務幹事)
小林 加代子(京都大学大学院 農学研究科:会計幹事)
宮藤 久士(京都府立大学大学院 生命環境科学研究科)
田中 聡一(京都大学 生存圏研究所)
岡久 陽子(京都工芸繊維大学大学院 工芸科学研究科)
腐食防食部門委員会 |
腐食防食部門委員会は1962年10月に腐食科学と防食技術に関する研究者,技術者の研鑽と情報交換を目的として設立された.腐食科学や防食技術は,さらなる省エネルギー・省資源の追求,ならびに安全かつ高効率な社会資本の整備の基盤となる科学技術であり,本委員会の活動の意義は近年,益々高まっている.
本部門委員会は法人委員(企業所属委員)44社,個人委員(主に大学・公的研究機関所属委員)30名で構成されている.企業と大学・公的研究機関の連携のもとで,現場に密接に関連した,腐食・防食の科学・技術,耐食材料の開発などを主題とした例会を年6回開催している.例会の開催は2023年度末で353回を数える.随時開催する研究集会も61回を数えている.例会・研究集会は,本部門委員会委員のみに限定せず,一般の方々にも出席いただけるよう原則,公開で開催している.2022年10月以降の例会はハイブリッド方式で開催し,本部門委員会の法人委員・個人委員についてはオンラインでの参加も可能としている.例会・研究集会の講演者には,6〜10ページの予稿を執筆いただき,毎回,冊子体の委員会資料に編集・発行している.委員会資料は本部門委員会の法人委員と個人委員ならびに当日の一般参加者に限って無料で配付している.毎回の委員会資料は,腐食防食に関する理論や解析技術の解説のみならず,市販の専門書やデータブックにはない数多くの現場の腐食事例を掲載しており,出席の技術者・研究者にとって貴重な資料となっている.
以下に2023年度に開催,あるいは開催を予定している6回の例会の概要を示す.
第348回例会(2023年5月23日,オンライン方式)
主題「腐食防食研究に関する最近の成果VII」
本例会では,腐食・防食分野に関わる学位取得者に最新の研究成果を講演いただいた.また,特別講演として,当委員会の活動に多大な貢献をされた中山武典氏に、ご自身の代表的な研究・開発成果を総括し,あわせて今後の展望や若手研究者への期待についてお話しいただいた.講演は4件,会場参加者は26名,リモート参加者は49名であった.
第349回例会(2023年7月11日,オンライン方式)
主題「コンクリート構造物における腐食損傷の現状と対策」
鉄筋コンクリートは,建築物や道路,鉄道など多数の社会インフラを構成する基礎材料であるが,中性化や塩分などに起因した鉄筋腐食を考慮する必要がある.社会や国土の強靭化を推進するため,これまで以上に高いレベルでの鉄筋コンクリート構造物の維持管理が求められている.本例会では,鉄筋コンクリート構造物の腐食損傷に関して,これまで蓄積されてきた知見と今後の課題について総合的にご講演いただいた.また,腐食損傷が非常に激しい軍艦島の鉄筋コンクリート構造物の劣化を紹介いただいた.さらに,コンクリート中の鋼材の腐食挙動や劣化対策技術についての議論した.講演は6件,会場参加者は32名,リモート参加者は48名であった.
第350回例会(2023年9月11日,ハイブリッド方式)
主題「カーボンニュートラル社会に向けた耐高温環境材料の最新動向」
カーボンニュートラル社会に向けて,各分野が舵を切っている.発電分野はCO2削減と同時に,経済性と電力供給安定性を考慮すべく,様々な技術革新が検討されている.具体的には,化石燃料の使用をミニマム化する高効率化,水素・アンモニアといった燃料との混焼発電,および化石燃料に依らないCO2フリー発電である.また,水素を製造する電解技術も大きく進化している.本例会ではこれら技術の最新動向,ならびに設備における高温酸化・高温腐食の状況をご講演いただいた.講演は5件,会場参加者は32名,リモート参加者は61名であった.
第351回例会(2023年11月13日,ハイブリッド方式)
主題「腐食の可視化」
腐食現象は金属材料固有の特性に加え様々な環境要因が複雑に作用するため,そのメカニズムの解明や予測は容易ではない.そのため,現在も様々な研究・技術開発が行われている.近年,腐食現象を可視化する技術の開発が進められている.可視化により,腐食のメカニズムに関する新たな知見が得られつつあり,現象の解明や余寿命予測への活用が期待されている.本例会では,最新の可視化技術を用いた腐食現象への取組みを講演いただいた.講演は4件,会場参加者は23名,リモート参加者は62名であった.
第352回例会(2024年1月23日,ハイブリッド方式)
主題「廃棄物発電ボイラの高温腐食と対策技術の最新動向」
温室効果ガスの排出削減や廃棄物の適正管理を実現するため,エネルギー源としての廃棄物の有効利用(廃棄物発電,廃棄物の原燃料利用等)が求められている.廃棄物処理の多くを占める焼却では構成材料が高温腐食を受けるため,その対策が課題となっている.本例会では,廃棄物処理に関わる技術開発や処理装置の腐食を予測・評価する技術の現状と課題,最新動向について講演いただいた.講演は5件,会場参加者は33名,リモート参加者は64名であった.
第353回例会(2024年3月18日開催予定,ハイブリッド方式)
主題「自動車車体および自動車用アルミニウム合金部材の腐食」
自動車業界では燃費向上による環境負荷低減を目的とし,車体軽量化の取り組みが進められている.車体軽量化の方法の1つとして,軽量かつ機械的特性に優れた材料であるアルミニウム合金の適用が進められている.自動車は走行環境や車体箇所により材料が曝される腐食環境が異なるため,腐食挙動も多様に変化することが知られている.さらに,アルミニウム合金は従来使用されてきた鉄鋼材料とは異なる腐食挙動を示すため,車体用材料として採用するにあたり,その挙動を十分に把握することが望まれる.本例会では,自動車車体の腐食およびアルミニウム合金部材の腐食に関する知見を深めることを目的とする。4件の講演を予定している.
行事予定や委員会活動は,次のURLの部門委員会ホームページで随時更新して広報している.
https://fushoku.jsms.jp/index.htm
腐食防食の基礎および応用に関心をお持ちの技術者・研究者の皆様のご参加をお待ちしています.
地盤改良部門委員会 |
「地盤改良」は土木・建築構造物を支える基礎として,あるいは,盛土や築堤などの構成材料として所定の要件を備えていないような地盤・土質材料の使用を可能とし,その状態を維持するために行う物理的,化学的および生物学的な処理をいう.地盤改良に係る分野は広範であり,その原理も多様なため,地盤改良に携わる技術者や研究者は多岐にわたる技術・学術情報を迅速,かつ,的確に入手する不断の努力が肝要である.
地盤改良部門委員会は地盤改良を施す上での種々の問題点について学術的な調査・研究を行い,その適正利用の促進を設立の趣意としている.当該部門委員会の源は1962年11月に発足した土質安定材料委員会にあり,以後の多様化した地盤環境の創造・保全技術にも対応するべく1998年4月に現在の名称に改めた.これまでに333回の全体委員会を開催しており,このうち2023年度は4回開催した.全体委員会では審議や報告に加えて,数件の調査,施工,研究事例の講演・話題提供を行っており,登壇者は委員に限らず外部(企業,官公庁,大学等)からも招聘している.2023年度の講演・話題提供・その他実施内容は以下の通りである.第330,331,333回はオンライン・対面のハイブリッド形式,第332回は現場見学会と題して対面形式で開催した.
[第330回部門委員会]
・「CCU材料を用いた環境配慮型地盤改良材の開発」
[第331回部門委員会]
・「廃ガラスを再資源化した多目的環境材料「ミラクルソル」の開発と活用について」
・「真空圧密ドレーン工法と施工事例」
[第332回部門委員会]
・現場見学会:新名神高速道路地盤改良工事現場見学(城陽スマートIC,枚方トンネル)
[第333回部門委員会]
・「地盤改良分野での化学混和剤の活用」
・「泥土リサイクルの現状(課題と展望)」
当部門委員会が貢献している学会活動の重要なものとして『地盤改良に関わる技術認証事業』がある.これは学会創立50周年を機に2000年より始めた事業であり,個々の技術や工法を公平かつ適正に評価することで技術開発の活性化に寄与しつつ,それらの建設現場への速やかな普及を図って技術水準の向上に資する旨を目的としている.評価の対象となる項目は,@地盤改良,地盤環境改善技術に関わる新素材,新材料,A地盤改良,地盤環境改善に関わる技術または工法,B汚染地盤の診断技術,汚染地盤修復技術,C廃棄物の地盤材料としてのリサイクル技術,であり,2023年11月時点で19件の技術(失効6件含む)を認証した.
当該部門委員会が主催する『地盤改良シンポジウム』は隔年に開催している研究発表会で,委員長,幹事長および幹事委員を核に実行委員会を組織し,論文の募集・審査,プログラム編成・運営を行っている.このシンポジウムでは優秀発表者賞(対象年齢35歳未満)を設けて若手研究者・技術者の奨励を図るとともに,論文の中から10数編を選抜し,学会誌『材料』の地盤改良特集号への投稿を依頼している.2022年には,第15回のシンポジウムを2022年12月9日,10日に沖縄県市町村自治会館(沖縄県那覇市)で開催した.合計で274名(対面:226名,オンライン:48名)が集い,124件の講演に対して活発な議論がなされ,シンポジウムは盛会のうちに終了した.2024年には,第16回のシンポジウムを京都で開催する方向で準備を進めている.
その他の活動として,当該部門委員会内に研究分科会を設置して図書の出版を行っている.近年では,2010年2月に「実務者のための戸建住宅の地盤改良・補強工法−考え方から適用まで−」を刊行した.これとは別に,学会創立60周年と委員会設立50周年とを記念して,部門委員会の企画により発刊した論文集や書籍等を検索機能とともにDVDに収録し,2012年3月に「地盤改良技術の変遷」と題して発行した.さらに,2014年1月より「未改良の埋立地や低平地の地盤沈下対策研究会」を編成し,未改良の既存埋立地の現状を調査し,地盤沈下を含むこれらの埋立地での課題を抽出,将来に向けての対策方法を提案することを主目的に活動を実施した.具体的には,沈下被害が顕著な国内5箇所(北海道,東北,中部,九州)の現地視察と情報収集を精力的に実施し,地域ごとの被害や地盤の特徴などについての調査・研究を行った.また,2021年12月より「セメント系改良土の六価クロム溶出特性に関する研究会」を編成・活動している.
以上のように,当該部門委員会では学術的,社会的に重要度の高い問題を取り上げて技術者,研究者の立場で慎重に検討を行い,その結果が地盤工学や材料学を含めた建設分野全体への貢献につながるべく,将来にわたり積極的な活動を展開していくことにしている.なお,2024年1月時点で,当該部門委員会は産学関係者を中心に118名に及ぶ委員で構成されている.
最後に,地盤改良部門委員会への加入は,通常は“当人からの申請”もしくは“委員からの推薦”に拠り,いずれも部門委員会に諮って承認を得る手続きを採っている.地盤改良に限定せず,広く地盤や土質材料に直接あるいは間接に関与されている方々のご参加を心待ちにしている次第である.
以上
コンクリート工事用樹脂部門委員会 |
建設材料の中で最も多く利用されている材料の一つであるセメントコンクリートは,種々の合成樹脂材料と併せ用いることによって,各々の単独使用では得ることのできない各種の優れた性能を発揮させることができる.コンクリートと合成樹脂との使用に当たっての組合せとしては,次のような形態が一般的である.
以上のように樹脂は多方面で利用されており,これらの用途のそれぞれで要求される目的・方法に適する樹脂の種類も多い.しかし,細部ではこれらの樹脂の持つ性能は異なる点が多く,しかも,目的・方法に対して必要とされる性能についてもまだ明確にされたとは言い難い面を持っている.このため,コンクリート工事に樹脂を利用するうえでの問題点について調査研究を行い,樹脂の適正利用について検討し,さらにこれら樹脂の用途に応じた試験方法ならびに使用指針の作成を目的として1963年(昭和38年)2月に本委員会は設立された.
委員会の活動成果として,1967年(昭和42年)には“コンクリート構造用接着剤(エポキシ樹脂)試験方法および施工指針(案)”を作成した.また,ポリマーセメントコンクリート小委員会およびレジンコンクリート小委員会を設け,1978年(昭和53年)に“試験室におけるポリマーセメントモルタルの作り方”などJISA1171〜1174,JISA1181〜1186の制定をみている.2000年(平成12年)設けたレジンコンクリート関連JIS改定等検討WGの活動成果として,2005年(平成17年)にはJISA1181〜1186が統合されて新たなJISA1181が制定された.一方,レジンコンクリート設計(施工)小委員会を設け,1985年(昭和60年)に“ポリエステルレジンコンクリート構造設計計算指針(案)”を,1991年(平成3年)に“ポリエステルレジンコンクリート配合設計の手引き(案)”を作成した.2005年(平成17年)には前者を改訂し,“レジンコンクリート構造設計指針(案)”を作成した.また,2014年(平成26年)にJISA1171“ポリマーセメントモルタルの試験方法”の改正小委員会を設け,2016年(平成28年)に改正を行った.補修材料関連としては,1989年(平成元年)には,阪神高速道路公団の委託のもとに設けた橋梁用樹脂小委員会によって,“コンクリート構造物の表面保護工便覧(案)・同解説”および“コンクリート床版防水工設計施工指針(案)・同解説”を作成している.さらに,この小委員会を発展的に改組して補修用樹脂小委員会を設け,その成果として,1995年(平成7年)に“コンクリート構造物の診断と補修−メンテナンスAtoZ−”を出版した.また,表面被覆材などの補修材料の性能試験方法に関する土木学会規準の作成に協力し,2006年(平成18年)より表面被覆材の共通試験を開始し,現在に至っている.なお,共通試験の成果も踏まえ,2020年(令和2年)に“コンクリート技術者のための表面被覆材料入門”を発刊した.
シンポジウム関連としては,1996年(平成8年)〜2000年(平成12年)に,日本学術会議材料研究連合会においてコンクリート構造物の補修,補強,アップグレードに関するオーガナイズドセッションを開催したが,これを発展させ,2001年(平成13年)から“コンクリート構造物の補修,補強,アップグレードシンポジウム”を開催するとともに,“コンクリート構造物の補修,補強,アップグレード論文報告集”を発刊している.
本部門委員会では,学校,官公庁関係者,設計および施工技術者,材料および製品メーカーなど,外国からの出席者も含めて参加し,樹脂ばかりでなく,ゴム,繊維,なども視野に入れた活発な活動を行っている.今後の活動としても,コンクリート構造物の計画,設計,施工,維持管理において,合成樹脂,ゴム,繊維の特性を有効に利用した新しい種々の使用方法を検討するとともに,コンクリート-樹脂-ゴム-繊維複合系の耐久性能,変形性能,各種強度の把握など様々な問題を取り上げ,本委員会と小委員会,または他関連委員会との合同委員会活動を適宜組合せて運営する予定である.本部門委員会への加入に際しては,部門委員会開催時に部門委員会の承認を得ることになっており,関心を持たれる会員の加入の申し出をお待ちしている.本部門委員会の年会費として,日本材料学会の年会費(正会員または賛助会員)に加え,20,000円(部門委員会の賛助会員:民間会社から加入する,日本材料学会の賛助会員.1社につき何名でも参加可)または2,000円(部門委員会の正会員:学校・官公庁等から加入する,日本材料学会の正会員)をいただいている.なお,小委員会についても,別途会費をいただいている.
岩石力学部門委員会 |
岩石力学部門委員会は日本材料学会第11期(1962年)に設立され,50年以上続く歴史のある委員会である.この委員会には理学,土木工学,資源工学を中心とした様々な分野の岩石力学に関連する研究者,エンジニアが参加し,毎回1〜2題の講演をいただいている.また,年に1回は委員会を兼ねて,岩石・岩盤に関わる施設,構造物等の現場を見学させていただき,現地の方々との意見交換を行っている.
さて,材料学会の中にあって,「岩石」とは何の材料なのか,ということであるが,例えば,山岳地帯の鉄道や道路を通すためのトンネル,揚水式発電所の発電機を設置する大規模地下空洞,石油・天然ガスの地下備蓄空洞などは空洞周辺の岩盤を構造の一部として取り込むことにより,地下構造物として安定する.掘削後,空洞内部に設置される吹き付けコンクリート,ロックボルトなどの支保が岩盤と一体となり,空洞周辺の岩盤は構造部材として地下構造物の安定をもたらすものである.これが,岩石を材料として扱う所以である.
構造物としての岩盤(岩石)は,これを取り扱う上で重要かつ難しい問題がある.実験室における試験片としての岩石と,実際のトンネルなどの構造物として扱うスケールでの岩盤の力学的な挙動は大きく異なったものとなる.異なる原因は,マクロな亀裂の問題,地下水の状況,その他,種々の要因がある.この試験片と岩盤の挙動の乖離を埋めるべく,地道な基礎研究,実験,現場での計測・観測などが数多く行われている.
これらの研究内容は多岐にわたっている.岩石力学の基本となる,岩石の破壊にともなう亀裂進展などに関する解析および実験による研究,地下構造物の挙動についての計測と解析,応用分野である降雨災害や落石災害など斜面防災に関わる研究,トンネルの施工管理に最新の画像処理技術を応用する研究などである.また,過去の見学先についても,TBMによる長大トンネルやLPG地下備蓄の岩盤タンク建設現場,放射性廃棄物の深地層処分研究サイト,山岳地帯での大規模砂防事業,実物大振動破壊実験施設,その他,幅広い分野で,内容も新規建設プロジェクト,維持管理,防災と多種多様である.
毎回の講演題目についても同様であるが,近年,特に地震に関する話題が増え,地震発生メカニズムの解明,地震によるトンネルなど地下構造物の被害発生状況,また,その補修・補強などについて多数発表いただいている.
今年度の岩石力学部門委員会においては,4回の委員会(第248回〜第251回)を開催したが,2回の委員会でそれぞれ1題の講演会をオンライン(ハイブリッド)で企画し,各委員による活発な質疑応答および意見交換がなされた.また,1回の現地見学会を開催した.以下,部門委員会活動の概略を紹介する.
第72期学術講演会では,「岩石力学とその応用」というタイトルのオーガナイズドセッションを主催した.2つのサブセッション「実験による岩石特性の理解」,「岩盤の利用と応力測定」に分かれて計8件の講演がハイブリッド形式で行われ,活発な質疑応答がなされた.
第249回部門委員会(令和5年7月28日開催)では以下の講演が行われた.
「熱・水理・力学・化学連成場における亀裂性岩盤の数値解析と四国CX研究会の取組み」
京都大学大学院工学研究科都市社会工学専攻 教授
安原 英明氏
第250回部門委員会(令和5年11月2日開催)では以下の講演が行われた.
「熊本地震時に活動した布田川断層の掘削研究」
京都大学大学院工学研究科都市社会工学専攻 教授
林 為人氏
なお,第248回部門委員会(令和5年5月30日)は,現場見学会とあわせて開催した(講演なし).現場見学会では,国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センター(茨城県つくば市)を訪問した.岩石力学に関連する国内最大の研究所であり,多くの大型装置やそれらを利用した進行中の実験について解説をいただいた.また,研究所の研究者と活発な意見交換,議論を行った.
また,会誌「材料」令和6年第3号において岩石力学特集号が組まれ,岩石力学に関する6編の論文が掲載に至っている.
このように本部門委員会は,岩石力学はもとより,多岐にわたる幅広い分野でその時々のトピックスを活発に議論する場を提供している.また,委員にオブリゲイションは無く,毎回の講演題目により自由に参加いただき,委員間の交流の場となっている.さらに,毎年新規の会員を受け入れており,委員会の活動をより活発なものにしている.会員の皆様にはぜひ本部門委員会への加入をお願いするとともに,周辺の研究室の学生や職場の若手エンジニアに積極的に参加を勧めていただきたい.
塑性工学部門委員会 |
塑性工学部門委員会(委員長:高木 知弘,京都工芸繊維大学)は,材料の塑性に関する基礎研究(材料の微視的組織観察,解析,塑性変形のメカニズムの解明・モデリングおよびそれらに基づくマイクロ/メゾ/マクロ塑性力学の構築)からその応用(材料設計・創製技術,塑性加工技術,機器構造物塑性設計,マルチスケールモデリング)にわたる広範囲なテーマについて関心を持つ大学・公設研究機関および企業の研究者,技術者から構成されている(会員数62名).当部門委員会では,3つの分科会:塑性力学分科会(主査:志澤 一之,慶應義塾大学),材料データベース研究分科会(主査:岡 正徳,ヤンマーホールディングス),地盤力学分科会(主査:岡 二三生,防災研究協会)を中心に活動を進めている.これらの分科会の担当で,第72期(2023年度)に開催された研究集会は以下の通りである.
第72期第1回塑性工学部門委員会(第95回材料データベース研究分科会)
日時:令和5年10月20日(金)13:15−17:15
場所:キャンパスプラザ京都 第二会議室
講演:
第72期第2回塑性工学部門委員会(第1回塑性力学分科会)
日時:令和5年12月20日(水)13:30〜17:00
会場:オンライン(Zoom)
講演:
第72期第3回塑性工学部門委員会(第2回塑性力学分科会)
日時:令和5年12月18日(月)13:00〜17:00
会場:大阪大学豊中キャンパス 基礎工学研究科国際棟 セミナー室
講演:
第72期第4回塑性工学部門委員会(第3回塑性力学分科会)
日時:令和6年3月11日(月)13:00〜17:00
会場:東北大学東京分室 会議室A/B
講演:
第72期第5回塑性工学部門委員会(第96回材料データベース研究分科会)
日時:令和6年3月8日(金)13:00〜17:00
会場:日本材料学会3 階会議室/オンライン(Zoom)
講演:
第72期第6回塑性工学部門委員会(第1回地盤力学分科会)
日時:令和6年3月8日(金)14:00〜16:00
会場:日本材料学会2階中会議室/オンライン開催(Zoom)
講演:
その他,下記の講演会等に関する活動も合わせて行った.
なお,平成23年度より,シニア会員特典として,65歳以上の個人委員の部門運営費分担金(年会費)が無料となっている.また,平成24年度より,部門委員特典として,部門委員会での講演ハンドアウト資料が部門ウェブサイト(https://sosei.jsms.jp/)から閲覧できるようになっており,本年度も引き続き運営している.
コンクリート用骨材部門委員会 |
現在,わが国においては良質の河川産骨材の枯渇とともに,資源的および地域的制約により,コンクリート用骨材はきわめて多様化してきている.すなわち,細骨材では川砂・陸砂・海砂・砕砂がほぼ等量,粗骨材では砕石がほぼ半量で残りを川砂利・陸砂利・山砂利その他が占めているのが全国的な概況である.このような状況の下では良質骨材の入手が必ずしも容易でなく,その結果として,骨材の品質管理がますます重要となり,骨材品質とそれを用いたコンクリートの強度,変形,耐久性などとの関係について,さらに科学的な検討を加えることが必要となる.骨材資源は今後さらに多様化が進行し,いわゆるゼロエミッション達成に向けてコンクリート廃材から得られる再生骨材ならびにスラグ・フライアッシュに代表される産業副産物を利用した新しい骨材の有効利用を図っていくことも重要であることは言うまでもないが,このような骨材の開発のためには,目標とする骨材品質に対して明確な指標を与えることが,コンクリート工学に課せられた重要な課題であると考えられる.
本委員会は昭和39年人工軽量骨材委員会として設立以来,社会的なニーズの方向を反映させて運営されてきた.設立初期より昭和40年代は,各種の人工軽量骨材の利用についての研究が最重要課題として取り組まれ,「施工指針」や「配合設計指針」を発表するなど,その普及に指導的役割を果たした.昭和50年代に入ってからは,研究対象が多角化し,砕砂,スラグ骨材などの新しい骨材の問題点,海砂の適正使用などを取り上げるとともにコンクリート物性の改善法やコンクリートの耐久性能なども研究テーマに組込む方向で運営されている.最近取り上げられているテーマとしては,表面形状を改良した砕石,砕砂の有効利用,高炉スラグやフライアッシュの骨材原料への利用,超軽量骨材の利用によるコンクリートの軽量化,再生骨材の有効利用,外国産骨材の利用に関する諸問題,低品質骨材を使用する際の配合設計や構造設計面における問題点,RCDやRCCP用コンクリート骨材,骨材の品質試験法の改良,反応性骨材の調査試験法や実用骨材の実態調査さらにエココンクリートなども挙げられる.一方,今後の課題としては,より広い視野に立った新しい骨材の開発,未利用資源の有効利用,各種骨材を用いたコンクリートの最適製造法など,骨材の開発,品質改良に直接関連した問題の他に,繊維補強など新しい複合法によるコンクリートの物性改善や連続繊維補強材(FRP)のコンクリート構造への適用,高温・低温環境,海洋環境など過酷環境下のコンクリートの挙動,これらに適した構造設計法の開発など研究対象を拡大しようと意図している.このような方向性を明確にするために会の名称を平成10年度に「コンクリート用骨材部門委員会」と改めた.
平成21年度からは,日本コンクリート工学会等の他学会との連携活動を強化し,特にコンクリートの乾燥収縮と骨材との関係を問題として取上げ,地産池消を原則とするコンクリート用骨材の合理的使用法に焦点をあてた調査研究活動を実施してきた.さらに近年はコンクリートを取り巻く情勢も一段と多様化・複雑化し,地球温暖化対策など持続可能な社会に向けた検討の加速,3Dプリンティングなど生産性向上を目指した技術のコンクリートへの応用など対象領域の拡大が顕著となり,骨材という狭い範囲で議論を行うことが困難になりつつあった.このような背景もあり,平成30年頃から,コンクリート用混和材料部門委員会との合同で部門委員会の開催を企画し,公開部門委員会として広く参加を募って実施するようになった.令和(2019年度)に入ると,拡大した研究領域に対してより効率的に活動することを目指して,両部門委員会の統合に向けた検討が本格化した.このような流れから2023年度にはコンクリート用混和材料部門委員会と合同で次のような企画を開催した.(以下,敬称略)
令和5年度第1回コンクリート用骨材部門委員会・混和材料部門委員会合同部門委員会
日時:2023年12月11日(月)13時〜16時
場所:大阪産業大学梅田サテライトキャンパスレクチャー ルームA・B およびオンライン
出席者:31 名
講演(1)
鳥取大学名誉教授 西林新蔵
「両部門委員会設立・活動経緯の解説」
講演(2)
(株)フローリック 三島 剛
「 加熱改質フライアッシュの混和がコンクリートに及ぼす影響」
8月に実施した統合に関する意見交換会では,骨材メーカー,混和材料メーカーに加えて,セメント,生コン,ゼネコン,コンクリート製品メーカー等の業界から若手の技術者に参加いただき,今後の部門委員会の活動に期待すること,取り組むべき課題等について多くの意見が出された.また,12月の合同部門委員会では,2件の講演に加えて,両部門委員会の統合に向けたアンケートの分析結果や意見交換会での議論の様子が報告され,両部門委員会の統合が承認された.令和6年度(2024年度)より「コンクリート用材料部門委員会」として活動していく予定である.
従来から,コンクリート用骨材部門委員会の特色は,本学会の性格を反映して,その構成メンバーが多彩である点にもある.すなわち,いわゆる土木・建築という縦割りはまったく意識されない運営であり,骨材メーカー,セメント・コンクリート技術者,設計技術者,施工技術者など多方面の関係者が委員として参加している.また,委員会開催に際して,委員以外からも広く適任者をスピーカーに選んで話題提供していただいている.このような運営の方針は2024年度からの新しい部門委員会の運営にも引き継がれることを期待している.より広い視野に立った新しい骨材の開発,未使用資源の有効利用,サスティナブル社会におけるコンクリートの在り方など,対象となる研究領域を拡大し,より活発な活動を検討していく予定である.皆様の積極的な参画をお願いする次第である.
なお,2023年度の部門委員会の運営体制は以下のとおりである.
委員長:熊野 知司(摂南大学)
幹 事:佐々木 徹(住友大阪セメント(株))9月まで
高井伸一郎(村本建設(株))
高谷 哲(京都大学)
高見 新一(大阪産業大学)
武田 字浦(明石工業高等専門学校)
水越 睦視(神戸市立工業高等専門学校)
三島 剛((株)フローリック)
山ア 順二((株)淺沼組)
山田 一徳(住友大阪セメント(株))10月から
山田 宏(大阪産業大学)
コンクリート用混和材料部門委員会 |
本委員会は,1965年7月にAE剤および減水剤の基準と試験法を確立し,フレッシュコンクリートおよび硬化コンクリートの品質向上に寄与することを目的に発足し,今年で59年目に入る.1999年度に化学混和剤小委員会と混和材小委員会の二つの小委員会を設け,コンクリートの構造用材料としての将来像を展望しつつ,コンクリート用混和材料の品質,それらを用いたコンクリート品質,施工規準,適用方法,配合に用いる化学混和剤基準(調合)設計法などを取り上げて,より実用的な動きになることを図った.2004年4月にA4版475頁からなる「日本材料学会編・コンクリート混和材料ハンドブック・児島孝之(立命館大学)監修」を刊行した.本書籍は1972年刊行の「コンクリート用化学混和剤」の大幅な改訂版であり,これまでの混和剤に加えて混和材の項が新たに設定されている.
京都大学 河野委員長,立命館大学 岡本幹事長の体制から2014年度より関西大学 鶴田委員長,近畿大学 麓幹事長の体制に変更して活動を行っている.本委員会は,発足以来これまでに,96回の委員会を開催してきており,コンクリート用混和材料に関する種々の話題提供やシンポジウム,混和材料に関わる建設現場や工場等の見学会を行って,最新の情報を得る機会を提供してきた.
さらに近年はコンクリートを取り巻く情勢も一段と多様化・複雑化し,地球温暖化対策など持続可能な社会に向けた検討の加速,3Dプリンティングなど生産性向上を目指した技術のコンクリートへの応用など対象領域の拡大が顕著となり,混和材料の範囲を超えた議論も必要になってきた.このようなことからコンクリート用骨材部門委員会との統合を見据えた活動を行ってきた.今後は様々な活動を通して,コンクリート用材料の発展や研究者・技術者の研究・技術レベルの向上のために貢献していくつもりである.コンクリート用材料に関連する事項に関心をお持ちの方,話題をお持ちの方には,是非とも参加いただきたいと考えている.2023年度は,下記のような活動を行った.
■コンクリート用骨材部門委員会とコンクリート用混和材料部門委員会の統合に関する意見交換会
日 時:2023年8月28日(月)13時〜15時30分
場 所:大阪産業大学梅田サテライトキャンパスレクチャー ルームB
出席者:20名
■2023年度第1回コンクリート用骨材部門委員会・混和材料部門委員会合同部門委員会(第98回コンクリート用混和材料部門委員会
日 時:2023年12月11日(月)13時〜16時
場 所:大阪産業大学梅田サテライトキャンパスレクチャー ルームA・Bおよびオンライン
出席者:31名
講演(1) 鳥取大学名誉教授 西林新蔵
「両部門委員会設立・活動経緯の解説」
講演(2) (株)フローリック 三島 剛
「加熱改質フライアッシュの混和がコンクリートに及ぼす影響」
■2023年度第2回コンクリート用混和材料部門委員会(第99回)
日 時:2024年3月7日(木)14時〜17時
場 所:大阪ガーデンパレス(Zoom併用)
出席者:22名
講 演:
『低炭素・脱炭素社会の構築に向けたセメント・コンクリート系材料の研究・開発の現状』
新 大軌 准教授(島根大学総合理工学部 物質化学科)
吉田夏樹 特任准教授(島根大学 学術研究院 環境システム科学系)
■2024年度の活動
本部門委員会では,2024年度より「コンクリート用材料部門委員会」として活動していく予定である.2024年度の活動として2回の委員会と数回の幹事会の開催を予定しており,統合を記念した講演会も開催予定で準備をしている所である.幹事会により計画的な委員会活動や企画の検討を推進していき,統合した部門委員会の新ホームページを公開し活動PRを推進していく予定である.特に,委員会においては若い委員が少なくなっているため,若手の研究者および技術者へのアピールを積極的に行い,若手の方に多く加わっていただき,活動を活性化していくことにも注力していきたい.
複合材料部門委員会 |
委員会の沿革と活動の概要
本委員会では,材料および構造の複合化・機能化・知能化に関連する分野について,学術的発展および技術的発展に寄与することを目的として,様々なかたちの情報交流や調査研究などを行っている.本委員会は1965年7月に「強化プラスチックス部門委員会」として設立された国内で最初の複合材料に関する学術組織であり,我が国における複合材料研究の発展に先駆的な役割を果たしてきたと認識している.その後,1997年12月に現在の名称に改称し,高分子系複合材料にとどまらず,複合化・機能化・知能化をキーワードとした広範な分野に活動範囲を広げている.近年においては,機体重量の約50% を複合材料化された中型旅客機B787 にも象徴されるように,航空宇宙分野においては,複合材料は最も重要な位置を占める材料となっている.また,自動車用途の分野や鉄道分野においても,複合材料の普及は加速的に進んでおり,各国がその研究開発にしのぎを削っている.しかしながら複合材料は,数十倍の異方性弾性などこれまでの材料ではなかった特性を持ち,従来の材料力学の枠組みを大きく超えた知識が必要となるため,研究・開発者の育成には各国とも苦戦している.このような中,最先端の研究者と学生等の初学者,産業界を結びつける本委員会が果たすべき役割はこれまで以上に大きなものとなっており,マルチマテリアル,スマートコンポジット,グリーンコンポジット,ナノコンポジットなど,先駆的分野に関する情報交流にも注力している.
委員会の主な活動
1)定例委員会
定例委員会では,複合材料に関する先端的なトピックスについて,講演会形式で毎回数件程度の話題について情報交換・意見交換を行っている.また,講演会とあわせて見学会や懇親会なども企画し,より有機的な研究交流を図っている.その他,関連する他学協会や他部門委員会との連携にも努めている.
2023年度は,定例委員会は現地開催とし,幹事会およびビジネスミーティングについてはハイブリッド開催方式を導入して以下4 回の定例委員会を開催した.
■第279 回定例委員会
日 時:2023年6月23日(金)
場 所:大阪科学技術センター701号室(7F):ハイブリッド開催
出席者:21名
内 容:幹事会およびビジネスミーティング(ハイブリッド),部門委員会部門賞 受賞記念講演3件(現地).
■第280 回定例委員会
日 時:2023年9月7日(木)
場 所:国民宿舎 小豆島:ハイブリッド開催
出席者: 16名(幹事会,ビジネスミーティング),37名(シンポジウム)
内 容: 幹事会およびビジネスミーティング(ハイブリッド),2023年度JCOM 若手シンポジウム(現地).
■第281 回定例委員会
日 時:2023年12月1日(金)
場 所:高知工科大学
内 容: 幹事会およびビジネスミーティング(ハイブリッド),Mini Symposium on Green Composite 2023(現地)
出席者: 9名(幹事会,ビジネスミーティング)15名(Mini Symposium)
招待講演& Keynote on Symposium
Prof. Jung-il Song, Changwon National University, Korea
■第282 回定例委員会
日 時:2024年3月13日(水)
場 所:京都テルサ:ハイブリッド開催
内 容:幹事会,ビジネスミーティング
出席者:23名
2)日本複合材料会議
日本複合材料会議(JCCM,Japan Conference on CompositeMaterials)は,本委員会が主催する最大の行事であり,日本複合材料学会との共催により,第13回を迎えるに至った.その前身は,1972年にスタートした「FRP シンポジウム」であり,2007年により幅広い分野への展開を目的に「JCOM シンポジウム」に発展した.さらに,2010年より日本複合材料学会との共催により,「日本複合材料合同会議」に発展した.2014年には「合同」の文字をなくし,名実ともに,日本を代表する複合材料分野の会議となった.
2023年度はJCCM-15 として,2024年3月13日〜 3月15日にかけて,材料学会主催事業として京都テルサにて開催された.主な情報は以下の通りである.
3)JCOM 若手シンポジウム
当部門委員会では複合材料分野の次代の研究を担う若手技術者・研究者の交流を支援するためJCOM 若手シンポジウムを2010年にスタートした.2023年度は,新型コロナウイルス感染症の影響が収まりつつある状態になり,複合材料分野の若手技術者・研究者の交流促進を考えて,現地開催とし,若手研究者間のネットワーク構築と横断的活動に繋がる機会を設けた.
日時:2023年9月7日(木)- 8日(金)
場所:国民宿舎 小豆島
参加者:37名
若手発表者の中から優秀発表賞を下記3名に贈賞した.
4)部門賞
複合材料部門賞論文賞,功績賞,奨励賞,技術賞を設け,複合材料分野で活躍する研究者,技術者,団体に対して,毎年数件程度の授賞を行っている.授賞の対象を本部門委員会委員に限定せず(功績賞を除く),広く複合材料分野の学術および技術の活性化に繋がるよう制度設計している.2022年度の受賞者は下記の通りであり,第279 回定例委員会において受賞記念講演ならびに表彰を行った.
5)研究ワ一キング・グループ(WG)活動
複合材料に関連する特定のテーマについて,ワーキング・グループを設置し,密度の濃い情報交換を促進している.現在,「グリーンコンポWG」,「量産車用コンポジットの開発WG」が活動を行っており,それぞれ研究会に加えて,国内または国際シンポジウムの共催を行っている.今年度は2023年11月17日に第15回自動車用途コンポジットシンポジウムを,2023年12月1日にMini Symposium on Green Composite 2023を行った.
6)国際学術交流
国内だけでなく海外の研究者や技術者との交流を図るべく,海外研究機関の視察や共同講演会を行っている.
本委員会への加入方法
本委員会への入会は,下記URL を参照されたい.
本委員会ホームページ:https://compo.jsms.jp/
フラクトグラフィ部門委員会 |
フラクトグラフィは,破壊過程の最も如実な観察を行うことから,特に事故の調査などで科学的な知見を求められるようになってきている昨今は,ますます重要になってきている.特に,近年の観察・分析機器および数値計算処理技術の進歩とともに,フラクトグラフィは飛躍的な発展を遂げ,破壊事故解析においては事故原因の重要な証拠を提供し,また,破壊の研究に際して,ミクロとマクロの谷間を埋めるべく,破壊力学の今後の展開の最重要情報提供源の一つとして重視されている.
本委員会は,フラクトグラフィを主要な手段とする破壊の研究ならびに,破壊事故解析技術のより一層の発展を推進することを目的としている.歴史的には,フラクトグラフィ研究会,フラクトグラフィ研究委員会,日本機械学会フラクトグラフィ分科会を経て,本委員会に引き継がれた.得られた成果は,フラクトグラフィシンポジウムや会誌「材料」の論文等として公表されている.しかしながら,近年はフラクトグラフィに携わってきた技術者,研究者の世代交代により技術の伝承が問題化しつつある.これらの背景から,破面のデータベース化,機械学習による破面の自動判別などの新しい試みに取り組んでいる.本委員会では毎年2回の定例委員会の他,秋に開催されている材料WEEKの中でフラクトグラフィシンポジウムとフラクトグラフィ講習会を交互に隔年で開催している.令和4年度の部門委員会開催内容は以下の通りである.
また,当委員会編にて出版した丸善より発行した「フラクトグラフィ」は隔年実施の「フラクトグラフィ講習会」のテキストとしているが,発行から20年以上経過し,講習会内容との乖離も大きくなってきており,今後,現在の講習会内容から編集する形で再版を検討している.
【第127回部門委員会】
2023年7月26日(金)
材料学会会議室3階大会議室,かつオンライン(Zoom使用)のハイブリッド開催
(出席者:13名内Zoom参加8名)
講演通番および講演内容:
562.破面試料作製試験の進捗報告
神戸工業試験場 山西 美雪
563.ストライエーション幅計測のラウンドロビン試験の進捗報告
(独)労働安全衛生総合研究所 山際謙太
【第128回部門委員会】
2023年3月12日(月)
青山学院大学相模原キャンパス会議室,かつオンライン(Zoom使用)のハイブリッド開催
(出席者:13名内Zoom参加7名)
講演通番および講演内容:
564.破面試料作製試験の結果報告
神戸工業試験場 山西 美雪
561.ストライエーション幅計測のラウンドロビン試験の進捗報告
(独)労働安全衛生総合研究所 山際謙太
なお,本年度(2024年度)は,第10回材料WEEK期間中に,京都テルサにおいて,第18回フラクトグラフィシンポジウムを開催する予定である.
このように本部門委員会では,フラクトグラフィに関わる議論および情報交換の場を提供している.会員の皆様には是非,本部門委員会への加入をお願いするとともに,周辺の研究室のメンバーや職場のエンジニアに,積極的な参加を呼びかけていただけると幸いである.
信頼性工学部門委員会 |
信頼性工学は,第二次世界大戦時に電子部品の信頼性の予測手法が検討されたことが始まりとされ,機器やシステムの信頼性予測,土木・建築構造物の信頼性確保などの分野で長足の進歩を遂げている.さらに機械・構造物の安全性・信頼性確保の観点から機械工学,材料関連分野にも応用され,特に材料強度の分野では疲労寿命および静的強度などの機械的特性を確定論ではなく,確率論的に取扱う研究が盛んに行われるようになり,航空機・原子力機器を始めとする各種機械・構造物の安全性と信頼性の評価に貢献するようになった.その後,各種工業製品や土木建築構造物において多様化・高度化・知能化が複合的かつ重層的に進展してきた.こうした状況では,製品や構造物がシステムとして複雑化することが避けられず,損傷や破壊が発生すると,甚大な被害に拡大することが懸念される.そこで,損傷箇所を早期に発見し,かつ被害を最小限にとどめ,人の生命や社会の安全を保証するための基盤技術の確立が強く望まれている.信頼性工学部門委員会は,こうした広い観点から「材料」を介して種々の工学分野を横断的に結び付けながら,我国において信頼性工学を確立・普及させることを目的に設立された.
近年では,信頼性工学は現代の技術社会において不可欠な要素となっている.我々の日常生活に浸透する製品やシステムが,期待通りに動作し続けることは,安全性や効率性を確保し,持続可能な社会を築く上での基本的な要件である.さらに製品の信頼性保証という品質経営にも直結するため,信頼性工学の果たすべき役割は一段と重要になってきている.IoT やIndustrie4.0 といった情報ネットワークにモノのデータが常に流通しつつある時代にあって,応用範囲の幅が広く対象要素が多岐にわたる信頼性工学の分野においては,狭い視点に偏ることなく常に広い視野をもつための多様性が求められている.このように時代の変化とニーズに対して迅速に対応していくため,多様な分野の研究者・技術者が一堂に会し,研究討論などの学術交流や情報交換を行う場を提供するとともに,本学会の他の部門委員会は言うに及ばず他の学会とも連携して幅広い委員会活動を展開している.
令和5年度信頼性工学部門委員会は,年3回の定例委員会および研究討論会を下記の日程で開催した.
第163回 令和5年4月22日(土):ハイブリッド開催
「力学的生体適合性チタン合金の研究開発の展開」,
新家光雄 氏(東北大学名誉教授 現:大阪大学工学部 特任教授)
「脊椎バイオメカニクス研究の紹介」,
馬場創太郎 氏(三重大学)
第164回 令和5年9月15日(金):ハイブリッド開催
「フューチャー・デザイン 将来世代視点で導く新たな社会と技術のイノベーション」,
原圭史郎 氏(大阪大学)
「フューチャー・デザインに基づく防災・リスクコミュニケーションに関する研究」,
倉敷哲生 氏(大阪大学)
第165 回 令和5 年12 月9 日(土):ハイブリッド開催
「鉄道車両の走行系の保全・安全のためのモニタリングシステムと信頼性の考え方」,
河田直樹 氏(埼玉工業大学)
「硬さ基準片と試験の信頼性」,
山本卓 氏(山本科学工具研究社)
さらに,常任幹事会を令和5年8月25日(金)にハイブリットにて開催し,次年度以降の活動計画等を討議した.
令和5年5月28日から30日の間,つくば国際会議場(つくば市)で開催された第72期通常総会・学術講演会ならびに各種併設行事において,オーガナイズドセッション「材料・機械・構造物への信頼性工学の応用展開」を企画し,9件の講演と活発な討論が行われた.併設行事として,信頼性フォーラム「構造材料におけるクリープ強度信頼性とデータ科学・数理統計」を企画し,招待講演2件:“耐熱材料の長時間クリープ強度特性とその評価”(物質・材料研究機構澤田浩太氏),“構造材料におけるデータ駆動研究の進展”(物質・材料研究機構出村雅彦氏)を行い,活発な意見交換が行われた.
令和5年10月25日〜27日の期間に開催された第10回構造物の安全性・信頼性に関する国内シンポジウム(JCOSSAR2023)ではOSを企画した.このシンポジウムは,同一分野の国際会議ICOSSAR(International Conference onStructural Safety and Reliability)が4年ごとに開催されており,1985年に第4回目のICOSSAR’85が日本(神戸国際会議場)で開催された折に,この会議の中間年に国内シンポジウムを開くことが提案され,日本学術会議主催のもとに第1回目が日本材料学会を幹事学会として1987年に日本学術会議で開催されたシンポジウムである.JCOSSAR2023において2つのOS「材料および機械構造物の強度・信頼性」および「社会安全と危機管理と信頼性」を企画して計15件の発表を通じて材料から社会システムの信頼性に関する幅広い議論を行った.
平成26年度(第1回)〜令和4年度(第8回)まで「初心者にもわかる信頼性工学入門セミナー」を開催してきた.これまでの開催実績を踏まえて,令和5年度(第9回:令和6年2月26日(月)および27(火))は「初心者にもわかる信頼性工学セミナー」として,従来の1日から2日間に日程を増やして,1日目は基礎編,2日目は応用編として開催した.本セミナーを通して部門委員会委員の増加につなげていく.また,疲労部門委員会と本部門委員会の合同企画として日本材料学会標準(JSMS-SD-6-04)金属材料疲労信頼性評価標準【S-N曲線回帰法】改訂版を発行している.
本部門委員会では,日本材料学会および本部門委員会の活動の活性化のために平成27年度より「材料強度信頼性分科会」と「防災危機管理研究分科会」,令和元年度より「確率過程応用研究分科会」を発足させ活発に活動している.
令和6年度は,年3回の定例委員会および年1回の幹事会(8月:京都)の開催を計画している.また,令和6年5月24日(金)から26日(日)の日程で行われる第73期通常総会・学術講演会ならびに各種併設行事において,オーガナイズドセッション「材料・機械・構造物への信頼性工学の応用展開」および信頼性フォーラム「激甚化する自然災害と信頼性」を企画・開催した.さらに,令和6年11月に第35回信頼性シンポジウムの開催を予定している.
信頼性工学部門委員会では,信頼性工学が今後ますます有用な学問として成長し,社会に広く普及・浸透することを目指している.信頼性工学の適用範囲は極めて広く,広範な分野における産・官・学の一層の連携が重要である.この観点から,種々の立場から本部門委員会への参加を期待している.本部門委員会へご参加希望の方は,日本材料学会宛に直接お申し込み頂くか,本部門委員会委員からのご推薦により,委員会の審議・承認ののち委員に委嘱される.なお,企業会員としてご参加される場合は委員会資料費として年会費15,000円を納付して頂き,個人会員としてご参加者される場合は委員会資料費として年会費1,000円を納付して頂いている.信頼性工学部門委員会では,皆様と一緒に信頼性工学の発展に寄与したいと願っている.本部門委員会へのご参加をお願いしたい.
破壊力学部門委員会 |
本委員会は,破壊力学という特徴ある力学体系と,それに基づくき裂材の強度評価体系を中心に,広く材料の破壊現象ならびにそれに関連した諸問題を取り扱う委員会としてスタートした.最近は,それに派生した接着端,接触端等の応力特異場問題にも展開している.破壊現象を取り扱うという点では,疲労,高温強度,腐食防食などの諸部門委員会と,また,強度問題一般という点では,マルチスケール材料力学,信頼性工学など諸部門委員会とも共通する部分をもっている.本部門委員会が昭和54年に発足して以来,すでに44年を経た.この間,産・官・学の各委員に興味をもたれている先端技術や新素材などの先端情報の紹介や解説を行い,講演会や討論を通じて委員相互の情報交換を行うため,年3回または4回の委員会と2年に1回のシンポジウムを開催してきた.また,本委員会は,幹事会で立案した各種議案や会の運営に関わる基本的諸問題を審議・決定する機関として機能している.2023年度は,すでに2回の委員会を実施し,3月にも開催を予定している.
第178回 2023年5月28日,つくば国際会議場,ハイブリッド開催
主題「キャビテーション壊食の予測技術」(公開部門委員会)
第179回 2023年9月22日,岩手大学理工学部,ハイブリッド開催
主題「接着/コーティング研究の最新動向」
第180回 2024年3月5日,日本材料学会,ハイブリッド開催(予定)
主題「破壊力学研究の未来を担う若手研究者との交流会」
これらの講演会資料は,小冊子にまとめ,各委員に配布している.
また本委員会では,破壊力学シンポジウムを隔年開催しており,第21回破壊力学シンポジウムは2023年11月16日〜18日に朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター(新潟市)にて,高温強度部門と合同で開催した(ハイブリッド開催).
本委員会では,Ohji-Ohtsuka-Okamura Award(功績賞,奨励賞)を設けており,破壊力学シンポジウムにおいて贈賞している.また,破壊力学シンポジウムでは,30歳未満(開催日時点)の登壇者を対象とした「ベストプレゼンテーション賞」も設けている.
本委員会では小委員会を設け,以下のようなテーマを絞った活動も行っている.FMニュース小委員会では,破壊力学に関連する国際会議や規格の制定・改正などの破壊力学関連のニュースを集録編集し,「FMニュース」として委員会およびシンポジウムの開催ごとに配布している.
K値小委員会では,これまでの活動によって,応力拡大係数に関するハンドブックとして,STRESS INTENSITYFACTORS HANDBOOK, Vol.1-5を発行してきた.このハンドブックは,国内に限らず国外でも広く活用されている.また,Vol.1,2については,収録内容をpdf化し検索機能も備えた電子版ハンドブックを平成25年度に出版し,好評を得ている.界面強度評価小委員会は平成18年度より設置され,界面強度評価(接合強度評価および皮膜はく離強度評価)に必要な試験法の具体例を収録するとともに,K値小委員会の成果を活用した新たな評価法の提案に取り組んできた.また,これらの成果をまとめた「界面強度評価ハンドブック」を平成22年度に出版し,好評発売中である.
また,平成25年度には,非破壊検査と破壊力学のさらなる連携と分野横断的な研究開発の推進を目指し,新たに非破壊検査小委員会を立ち上げた.関連のある部門委員会や他学協会等にも呼びかけ,これまでに7回の小委員会を公開で開催している.さらに2019年度には若手育成と破壊力学のさらなる普及,社会貢献を目的とし,講習会小委員会を立ち上げ,これまでに4回の講習会“「はじめての破壊力学」講習会〜破壊を防ぐために〜”を実施しており,2024年3月26日には第5回講習会を実施する予定である.
本部門委員会は,会社委員(企業・法人所属委員)40名,個人委員(大学・公的研究機関所属委員)91名,および名誉委員7名,計138名で構成されている.破壊力学を実機構造物などの設計・保守点検などの現場の問題に活用することは,産業基盤技術を確立するうえでも重要なため,企業関係の方々の本部門委員会への参加を強く望んでいる.なお,会社委員の場合は,原則として日本材料学会の賛助会員になっていただいたうえで,年間20,000円の部門委員会費を,個人委員には年間2,000円の部門委員会費を負担いただいている.会社委員は,代表者以外に4名まで部門委員会のメンバーとして登録でき,登録されたメンバーは委員会へ自由に参加できる.
このように,本部門委員会は破壊力学およびその関連分野において活発に活動しており,関連する技術者,研究者の方々の積極的な参加をお待ちしている.部門委員会のホームページのURLはhttps://fm.jsms.jp/index.htmlであり,行事予定や委員会活動を随時更新して広報している.
セラミック材料部門委員会 |
本委員会は,昭和54年6月に,セラミック材料の諸問題を扱う委員会として発足し現在に至っている.セラミックスの合成,製造,加工などの各種プロセス技術ならびに機械的,熱的,電子・磁気・光学的,化学的性質などの設計と評価技術に関する諸問題を対象に,産・官・学の研究者の情報交換・討論の場として,有用な機会を提供してきている.本委員会の構成員には法人委員と個人委員がある.委員会への加入は,主として現委員の推薦によることが多いが,日本材料学会事務局に,加入希望する旨を直接申し出ていただいてもよい.幹事会と委員会の了承を得て,委員となって頂くことになる.なお,会の運営維持のため,法人会員には年間15,000円を,委員会での講演会や見学会の資料代等(各回参加費は無料)として,また個人会員には,委員会への出席各回毎に1,000円の費用負担をお願いしている.ただし,今年度は,財務上,参加費などを無料にしている.
2023年度は5月以降,コロナ感染防止のための活動制限が解除されたことから,コロナ前に近い活動を行うことができた.
最後に,開催した委員会,オーガナイズドセッション等の内容を以下に示す.
第159回委員会
日時:2023年7月27日(木)
場所:京都工芸繊維大学
テーマ「セラミックスの合成と評価」
第160回委員会
日時:2023年10月30日(月)
場所:京都市成長産業創造センター
講演会
セラミックスの最先端レーザ加工とその応用
京都市成長産業創造センター 平尾一之先生
機械学習と粉体工学的アプローチによるカブトムシの雌雄判別
岐阜大学 高井千加
講演会終了後,京都市成長産業創造センターを見学
第161回委員会
日時:2024年3月26日(火)
場所:ファインセラミックスセンター
講演会
高温における環境遮蔽膜中の物質移動制御
JFCC 材料技術研究所 北岡 諭先生
セラミックスのレーザー焼結プロセスと付加製造への展開
JFCC 材料技術研究所 木村禎一先生
「材料シンポジウム」ワークショップ
2023年10月10日(火) 場所:京都テルサ
衝撃部門委員会 |
委員会の沿革
本委員会は,材料や構造の衝撃問題に関する研究・調査を通じて,材料科学の発展および関連技術の向上に寄与することを目的として,1981年(昭和56年)2月に設立された.本委員会では,材料や構造の衝撃問題に関する研究調査・情報交流・資料収集,表彰などの活動を行うほか,これに関連する研究講演会・討論会・講習会・シンポジウムなどの事業を行っている.本委員会で対象とする衝撃問題の範囲は,衝撃荷重下における材料や構造の高速変形・破壊進行,それらを対象とした計測技術・評価技術・数値解析技術,衝撃荷重を利用した生産技術・加工技術など,多岐にわたり,機械工学,土木工学,有機・無機化学,航空・宇宙工学など,多様な分野の研究者・技術者が本委員会に所属している.このような学際的特徴を活かし,近年は,異分野融合による新規研究課題の創出や衝撃関連技術の啓蒙にも注力している.
主要な活動
定例部門委員会(研究会)
研究調査・情報交流の場として,年4回程度の研究会を開催している.研究会では,衝撃問題に関する最新のトピックを中心に,記念講演や若手講演など,様々な切り口で情報交流を行っている.
学術講演会併設行事
通常総会・学術講演会の併設行事として,材料・構造の衝撃問題に関するオーガナイズドセッションを企画し,衝撃問題に関する研究交流を行っている.また,これに合わせて,公開部門委員会を企画し,衝撃問題に関する啓蒙活動を行っている.
国内シンポジウム
1983年(昭和58年)から概ね3年ごとに,「材料の衝撃問題シンポジウム」を開催してきた.このシンポジウムは,国内唯一の衝撃問題を主題とするシンポジウムであり,前回は2020年度に第13 回を材料WEEK 併設行事として開催した.COVID-19のために延期された国際シンポジウムと開催期が重複することから,本来ならば2023年度に第14 回を開催する予定であったが,2024年度に延期することとなった.
国際シンポジウム
1992年(平成4年)から概ね3年ごとに,「InternationalSymposium on Impact Engineering (ISIE)」を支援してきた.前回(ISIE2023)はオーストラリアで開催され,次回(ISIE2026)はチェコ共和国で開催されることになっている.
連載講座・特集号等
委員会活動の一環として,会誌「材料」における連載講座や特集号への寄稿や書籍の発行などを行っている.2021年度には,会誌「材料」に連載講座「衝撃工学の基礎と応用」(Vol. 70, No. 5 〜 9)および衝撃特集号(Vol. 70,No. 11)を掲載した.次回は2025年度に特集号を予定している.
表彰制度
衝撃工学分野の研究・開発の発展を図るため,日本材料学会衝撃部門賞を設け,功績の内容により,功労賞,業績賞,奨励賞の授賞を行っている.2023年度は,残念ながら応募がなく,授賞に至らなかった.2024年度は委員への積極的な応募を求める.
技術講習会
委員会活動の成果還元と社会貢献を目的として,初心者向けの技術講習会「衝撃工学フォーラム(初心者のための衝撃工学入門)」を開催してきた.この企画については,現在,休止中である.
その他
衝撃関連の問題については,産業界からの問い合わせも多く,委員会ホームページに技術相談窓口を設け,随時,対応を行っている.
https://impactmb.jsms.jp/soudan.html
2023年度の委員会
第169 回衝撃部門委員会(公開)
開催期日:2021年5月28日(日)
開催場所: つくば国際会議場における対面とZoom によるオンラインのハイブリッド開催
講演1:「個別要素法によるポーラス材の圧縮塑性変形シミュレーション」
東京大学 徳永 賢太郎 氏,鈴木 宏二郎 氏
講演2:「爆轟現象と爆発エネルギーの応用」 産業技術総合研究所 久保田 士郎 氏
講演3:「マイクロマグネティクス法を用いた鉄鋼材料の機械的強度に関する非破壊評価事例」
(株)構造計画研究所 上谷 佳祐 氏,Saif Shahabuddin 氏
第170 回衝撃部門委員会
開催期日:2022年9月1日(金)
開催場所:中央大学後楽園キャンパスにおける対面開催
講演1:「Smart Materials for Vibration」
山形大学 村澤 剛 氏
講演2:「材料試験 カメラを使った高速・非接触測定事例の紹介」
(株)フォトニックラティス 大沼 隼志 氏
講演3:「材料試験 カメラを用いた高速・非接触測定技術の最新事例 材料同定における高速度カメラの活用について」
(株)フォトロン 桑原 譲二 氏
講演4:「レーザー誘起衝撃波を利用した界面強度評価に関する研究」
中央大学 米津 明生 氏
第171 回衝撃部門委員会
開催期日:2023年12月4日(月),5日(火)
開催場所:Parmelia Hilton Perth, Perth, Western Australiaにおける対面とWebEx によるオンラインのハイブリッド開催
特別講演:「Rigid-Plasticity Revisited: Elastic Effect on Dynamic Deformation of Structures under Pulse Loading」
香港科技大学 Tongxi Yu 氏
講演1:「Impact Compressive Deformation Behavior of Artificial Pumice for Reinforcement of Shelter against Ballistic Ejecta」
室蘭工業大学 Kohei Tateyama 氏
講演2:「Puncture properties of thin film material at wide range of displacement rates」
防衛大学校 Takinori Ueno 氏
講演3:「Hypervelocity-Impact Damage Formation and Propagation in Multilayered Glass」
防衛大学校 Nobuaki Kawai 氏
講演4:「Development of technique to imprint sub-micron scale patterns on aluminum foil and plate using explosives and polymer nano-mold」
熊本大学 Shigeru Tanaka 氏
講演5:「Numerical analysis of the response of a multistable mechanical metamaterial to dynamic loading」
中央大学 Akio Yonezu 氏
講演 6:「High-velocity Microparticle Impact Testing using Pulsed Laser Ablation; Understanding the Mechanism of Impact Resistance of Polymers and Grain Refinement of Metallic Materials」
中央大学 Miki Kajihara 氏, Ryo Ichikawa 氏,
Hiroto Suzuki 氏, Akio Yonezu 氏
講演7:「Experimental study on high-velocity impact into granular materials at low gravity」
立命館大学 Masato Kiuchi 氏
講演8:「Mechanical characterization of Polymeric Lattice Structure Subject to Dynamic Loading」
中央大学 Tomohisa Kojima 氏
講演9:「Dynamic FEM Analysis for Crashworthiness of Sidewalk-roadway Boundary Columns Considering Strain Rate Dependence」
大阪公立大学 Tsutomu Umeda 氏
講演10:「A Study on Measuring the Impact Force by Using Off-diagonal Component of Piezoelectricity in PVDF」
立命館大学 Chong Gao 氏
講演11:「Hypervelocity Impact Behavior of Direct Energy Deposition Fabricated Aluminum, Titanium Alloy, and Their Functionally Graded Materials」
名古屋工業大学 Ziyi Su 氏
第172 回衝撃部門委員会
開催期日:2024年3月19日(火)
開催場所:材料学会本部における対面開催
講演1:「高速変形に携わって ” 〜 100,000/sec 迄の実験的研究”」
法政大学 崎野 清憲 氏
講演2:「現代塑性論としての FTMPと材料の衝撃変形挙動について」
神戸大学 長谷部 忠司 氏
講演3:「太陽系小天体表層での衝突現象の解明」
立命館大学 木内 真人 氏
その他
2023年度については,2022年度に引き続きCOVID-19の影響により,公開部門委員会などの事業の実施に少なからず影響があったため,ハイブリッドで開催せざるを得ない場合もあった.2024年度については,完全対面での開催を再開させるよう準備を進めている.なお,部門活動の活性化のため,オンラインやハイブリッドも引き続き適宜導入する予定である.本委員会に関心をお持ちいただける場合には,日本材料学会もしくは本委員会のホームページをご参照ください.
日本材料学会:https://www.jsms.jp/
衝撃部門委員会:http://impactmb.jsms.jp/
強度設計・安全性評価部門委員会 |
1 設立の目的
強度設計・安全性評価部門委員会は,機械・構造物に対する経済性,安全性,および信頼性の向上を目的として1983年に設立された. 以来,材料力学および材料強度に関わる学術研究と企業の設計・製造などの現場とを橋渡しして技術伝承することを目的とし,強度・安全上の不具合事例の紹介と分析を中心に活動してきた. これまでに,76回の部門委員会を開催した.この間,企業および学術界を取り巻く環境変化に対応して取り上げるテーマの内容や運営の在り方を見直してきた.
強度設計や安全に関しては本部門委員会だけでなく,疲労,破壊力学,高温強度,X線材料強度,信頼性工学などの他部門委員会でも鋭意検討が進められている.当部門委員会としてはこれらの他部門委員会の方々にも参加いただいて,設計,製造,品質保証の現場における問題認識と技術伝承を念頭においた幅広い議論の場を提供できればと考えている.毎回多くの部門委員以外の方に参加いただいている.
また,以下のように特定の課題に絞って議論できる場も設定できるようにしている.
2 特定の課題についてのシリーズ講演
第68回部門委員会からは,強度設計や評価の場面で多く扱われる特定の機械要素部品や事象を課題として取り上げて,数回のシリーズ講演を併設する試みも行ってきた.
第68回〜70回「ボルトの力学と強度設計」をテーマに3回のシリーズ講演を実施.
第71回〜72回「転がり疲れと面圧強さ設計」をテーマに2回のシリーズ講演を実施.
第74回〜76回「残留応力」取り上げて,「熱処理シミュレーションの開発と検証」をテーマに3回のシリーズ講演を実施.
「残留応力」は令和6年3月5日の第77回でも取り上げた.
3 2022年度, 2023年度の部門委員会
以下の講演と討議が行われた.
第74回部門委員会 2022年9月28日;オンライン開催
1)鉄道車軸の疲労損傷評価法規格と高周波焼入車軸の疲労強度
講師:日本製鉄(株)技術開発本部 牧野泰三氏
2)熱処理シミュレーションの開発と検証(シリーズ第1回)
“シミュレーションひずみ法による日本刀焼入れ反り現象の解明”
講師:(有)アリモテック 取締役有本享三氏
第75回部門委員会 2023年2月8日;オンラインにて開催
1)アーク溶接による残留応力シミュレーションと残留応力下での疲労き裂進展シミュレーション
講師:コベルコ科研計算科学センター中本久志氏
2)熱処理シミュレーションの開発と検証(シリーズ第2回)
“Sachs法による残留応力測定結果に基づく熱処理シミュレーションの検証”
講師:(有)アリモテック取締役有本享三氏
第76回部門委員会 2023年9月14日:龍谷大学大阪梅田キャンパス ハイブリッド開催
1)熱処理シミュレーションの開発と検証(シリーズ第3回)
「焼割れとその現象のシミュレーションによる解明の試みについて」
講師:(有)アリモテック取締役有本享三氏
2)コンタ法による部材の内部残留応力測定
講師:橋本鉄工株式会社専務取締役橋本匡史氏
第77回部門委員会 2024年3月5日:龍谷大学大阪梅田キャンパス ハイブリッド開催
1)各種残留応力評価技術の溶接部への適用事例について
講師:大阪大学大学院 工学研究科 岡野成威氏
2)高周波焼入れシミュレーションによる熱処理変形と残留応力の予測について
講師:高周波熱錬株式会社(ネツレン) 堀野孝氏
4 新たな活動方針
企業および学術界を取り巻く環境変化,部門委員の高齢化と減少の中で,如何にして設立の趣旨を維持していくかに関して抜本的な活動方針の変革が必要と考え,2022年度当初から検討を続けてきた. その結果,
1)機械,土木,建築,医療などの分野の規格・基準における強度評価法の調査・討議
2)強度設計CAEにおける強度評価法についての調査・討議
3)強度・安全に係る不具合事例の紹介と討議
4)強度・安全に係る特定の課題についての情報の集約
の4つを活動の主な柱とし,この範囲で関係者がテーマを設定してワーキンググループを編成することを目指す.
2024年度からは以下に示すワーキンググループの設置を検討している.
規格・基準における強度評価方法 関連
強度設計CAE 関連
不具合事例 関連
特定の課題 関連
5 ホームページの新設
当部門委員会のホームページを新たに作成し,2023年8月30日付けの材料学会MLを通じて全会員にアナウンスした.当部門委員会の新たな活動方針や最近の動きを紹介するとともに,活動への参加を呼び掛けた.
トップページについては https://safety.jsms.jp/index.html
活動方針については https://safety.jsms.jp/policy.html
を参照されたい.
マルチスケール材料力学部門委員会 |
材料力学で扱う材料のスケールは従来のマクロスケールから,マイクロ・ナノスケールへと拡張している.また,マクロスケールの材料であっても,その強化・変形・破壊等の力学的な原理を知るためには,マイクロ・ナノスケールの実験・観察・解析に基づくモデル化とその検証が本質的に欠かせない.マルチスケール材料力学部門は,分子動力学部門(1994 年設立)とマイクロマテリアル部門(1996 年設立)が2017 年に合併してできた部門であり,ナノ・マイクロ・マクロスケールにわたるマルチスケール材料力学の理論体系の構築,ならびにそれを応用へ導くための方法論の確立を目的とし,実験・観察・解析研究を密に連携させた部門を目指している.理論体系の構築のためには,想定されるあらゆるスケールの実験・観察・解析技術を連携させることが不可欠であることから,本部門では,これらの個々の技術の勉強会・情報提供を行うとともに,俯瞰的にこれらの技術を統合・横断させるための議論を行う.現在,注目されている実験・観察・解析の個別技術は以下のようなものである.
実験:半導体やMEMS の微細加工を応用した微小材料の機械的特性評価技術
観察:TEM,SEM,AFM,EBSD などの微細観察を用いたナノ・マイクロスケールからの機械的特性の現象解明技術
解析:電子状態計算,分子動力学法,フェーズフィールド法,転位論・結晶塑性論などによる材料の機械的特性評価技術
定例の委員会は年間3〜5回の頻度で開催されている.委員に限らず参加可能な公開委員会の形式で,その時々で興味深いトピックに沿った講演を組み込んでいる.例として,令和5年〜6年度(第72期)におけるテーマおよび講演内容を以下に示す(講演者の敬称略.以下同).
第72期 第1回委員会 令和5年10月11日(水)
(京都テルサ・第9回材料WEEK併設として開催)
テーマ:分野横断によるマルチスケール材料力学の新展開
「自律的機械学習力場生成の応用」
陣内亮典先生(豊田中央研究所)
「深層学習の援用による走査透過電子顕微鏡法その場観察および3次元観察の高速化」 井原史朗先生(九州大学)
「構造材料解析にむけた機械学習ポテンシャルの開発と適用」
森英喜先生(産業技術短期大学)
第72期 第2回委員会 令和6年1月24日(水)
(オンライン方式:Zoomミーティング)
「格子欠陥の原子構造および特性の高精度予測に向けた機械学習型記述子・原子間ポテンシャルの構築」
横井達矢先生(名古屋大学)
「固体の変形・破壊の原子論的解析のための機械学習ポテンシャルの開発」
松中大介先生(信州大学)
第72期 第3回委員会 令和6年3月29日(金)予定
(オンライン方式:Zoomミーティング)
特別企画:「本部門委員会はこのままでいいのか?」
第72期 第4回委員会 令和6年5月24日(金)予定
(出島メッセ長崎)
「構造不規則系のレオロジーに対するミクロな視点」
岩下拓哉 先生(大分大学)
「マイクロカンチレバー法を用いた辷りの固執評価」
田中將己 先生(九州大学)
また本委員会では,広範な研究者が集って深い議論および情報交換をする場として,「マルチスケール材料力学シンポジウム」を毎年開催してきている.この一連のシンポジウムにおいては,実験・観察・解析の技術に精通する大学・企業所属の一般研究者のみならず,大学院生など研究の緒についた若手の活躍も目覚ましい.毎年,シンポジウムでの優秀講演者には部門賞である優秀講演賞および優秀学生講演賞が各々授与され,意欲的な研究を奨励している.令和5年度には第8回マルチスケール材料力学シンポジウムを開催し,合計40件(招待講演2件,口頭発表6件,ポスター発表32件)の発表が行われ,優秀講演賞に劉麗君氏(大阪大)・高桑脩氏(九州大学),優秀学生講演賞に阿部能将氏(京都大学)・三津原晟弘氏(名古屋大学)が選ばれた.令和6年度は,5月24日(金)に学会総会併設行事として,第8回マルチスケール材料力学シンポジウム(招待講演2件,口頭発表11件,ポスター発表34件)を開催する予定である.
さらに,原子・分子レベルの解析技術(分子動力学法や第一原理計算)を企業の若手技術者や大学生などの初学者にも広く伝えるための講習会を毎年開催しており,こちらも盛況である.
令和5年12月7〜8日にはオンラインにて「第20回ノートパソコンで出来る原子レベルのシミュレーション入門講習会〜分子動力学計算と電子状態計算」を開催し,解析技術の基礎理論とソフトウェアの利用方法に関する講義を提供した.詳しい講習内容は以下の通りである.
【1日目】
講義1(電子状態計算の基礎)大阪大学 尾方 成信/電子状態計算演習・電子状態計算ソフト(ABINIT 等)の紹介 名古屋大学 君塚 肇/電子状態・分子動力学計算に関する質問(個別相談可)
【2日目】
講義2(分子動力学の基礎・物性値算出)東京大学 泉 聡志/分子動力学ソフト“LAMMPS” 演習 株式会社PreferredNetworks 高本 聡,東京大学 榊間大輝/講義3(分子動力学ポテンシャルと分子動力学の実践的知識と応用)東京大学 泉 聡志/電子状態・分子道力学計算質問(個別相談可)
以上のように,マルチスケール材料力学部門委員会は,様々なスケールの実験・観察・解析を連携させて,今後のマルチスケール材料力学の理論体系の構築に寄与すべく精力的に活動している.また,他の学術的グループと比較しても次世代を担う若手研究者の活躍が顕著である.既成枠に囚われないアイデアのもとでの活動をさらに推進していくために,老若男女問わず,本委員会に興味をもたれた様々な分野の研究者・技術者・学生の参加を待ち望んでいる.正会員・賛助会員ともに,参加ご希望の方は下記のメールアドレスまで連絡をお願いしたい.
e-mail: mmm@m3.jsms.jp
半導体エレクトロニクス部門委員会 |
本部門委員会の歴史は,1960年代前半に設立された「半導体物性等研究会」に遡る.この研究会は,当時に半導体の先駆け的な研究を開始された大阪大学の山口次郎教授が,この分野の飛躍的な研究の進展を期して,研究者の最新の研究成果の発表・討論と情報交換を目的に設立されたものである.1960年代という半導体の黎明期であり,その後30年以上にわたり,半導体技術の飛躍的な進展と時を合わせて,先進的な研究推進の原動力になり,またこの分野で活躍する多くの人材育成につながったことが推察される.
しかしながら,1997年1 月に山口次郎教授(当時,大阪大学名誉教授,摂南大学名誉教授)がご逝去され,「半導体物性等研究会」は支えを失ってしまった.その後,この研究会が果たしてきた先駆的な活動を歴史に留め,またさらに一歩進んだ活動につながることを期して,山口次郎教授の直接的なご指導を受けた大阪大学の奥山雅則教授が中心となり,1998年(平成10年)10 月に「半導体物性等研究会」の伝統を引き継ぐ形で本部門委員会が設立された.
爾来,本部門委員会は25年の歴史を有するに至った. 折しも半導体技術の急速な発展により,先端的研究成果の発表と討論の場として多くの学会・研究会が企画・運用されるようになった.その中で本委員会では,幅広い材料に対する総合的な観点から自由な雰囲気で話し合える機会を与えてきた.しかしながら,時代の流れがあわただしくなり,情報発信の源が各所にある現状から,委員会および研究会への参加者数が減少する傾向があったことも事実である.
そこで平成17年度より,今後の材料学会における本部門の特徴を際立たせ,活性化を図るための施策の一つとして,学部生や大学院生が参加しやすい形での研究会を企画し,学生に対して発表・参加を強く呼びかけることになった.学部生や大学院生は,実際上,大学の研究室における研究成果の中核を担っているが,自分たちの専門以外のことになると思いのほか知らない.また,学会に参加しても自分たちの専門分野のセッションにのみ出席し,専門外である材料についての発表には参加しない(というより,大きな学会では専門以外の分野に出席する時間的余裕がない).そこで,大学と専門の枠を越えて交流することで,人的かつ知的な融合を深めることができると考えたのである.また,一般の研究者,技術者にとっても,このクラスの学生の講演は学術的に最先端であるとともに,研究に深く従事していることからより内容に密接しており,詳細かつ技術的な知識を得ることができる.他方,学生にとっては,多くの研究者の意見を聞くことで自己の研究の意義を再認識し,論文の完成に向けての大きな指針を得ることができる.平成21年度には,さらに「学生優秀講演賞」と「講演奨励賞」を設けて若手研究者のモティベーションを高めることを目指した.このような新しい試みが徐々に委員会の発展につながっており,現在の研究会では,多数の参加を得て先端的な講演と活発な討論がなされている.優秀な講演が多く,学生優秀講演賞の選定は高いレベルで行われている.
2023年度は,総会(1 回),研究会(3回)を開催した.各研究会の前に毎回,委員会・幹事会を開催し,部門運営を議論する場とした.詳細は以下の通りである.
総会
〈2023年4月22日,参加者11名〉
大阪大学会議室(グランフロント大阪)にてハイブリッド審議により,令和4年度の活動について報告し,以下のように令和5 年度の担当業務を決めた.
[委員長]喜多隆(神戸大学)
[幹事]藤田静雄(京都大学),藤原康文(大阪大学),吉本昌広(京都工芸繊維大学),藤村紀文(大阪府立大学),市野邦男(鳥取大学),塩島謙次(福井大学)荒木勉(立命館大学),小池一歩(大阪工業大学),宇野和行(和歌山大学)
[代議員]喜多隆
[編集委員会] 正担当:西中浩之(京都工芸繊維大学),副担当:富永依里子(広島大学)
[企画・広報委員会] 正担当:荒木勉(立命館大学),副担当:小池一歩(大阪工業大学)
[ホームページ担当]宇野和行(和歌山大学)
[Facebook担当]藤村紀文
[財務担当]喜多隆
第1回研究会
【2023年7月29日,担当:藤村紀文(主催:大阪公立大学),参加者22名】
第2回研究会(ナノ材料部門委員会との共催)
【2023年11月25日,担当:荒木勉(主催:立命館大学),参加者20名】
第3回研究会(ハイブリッド開催)
【2024年1月20日,担当:市野邦男,阿部友紀(主催:鳥取大学),参加者43名】
委員会の活動の詳細や加入についてのお問い合わせは随時,委員長あるいはホームページhttps://algainn.jsms.jp/記載の連 絡先にご連絡いただきたい.
ナノ材料部門委員会 |
ナノテクノロジーの進展にともない,ナノスケール領域における材料の特性に関する情報の必要性とともに,ナノスケールレベルにおいて活用され得る新しい材料の開発に対する要求が急速に高まっている.これらのニーズに応えるべく,ナノスケール分析を核とし,有機・無機・高分子化学,機械工学,金属工学および物質情報工学を中心に,ナノをキーワードとする材料に関する総合的な研究を推進することを目標として,2003年(平成15年)2月に本部門委員会が設立された.本委員会は,本学会員に広く門戸を開放し,ナノ材料全般にわたる最新の情報収集・情報交換の場を提供しようとするもので,関心ある研究者・技術者の参加を期待している.
2023年度(令和5年度)の委員会活動は以下の通りである.
第1回委員会(通算第47回)(研究会)
(2023年4月18日,京都大学桂キャンパスA2棟304講義室)
[講演](1件)
「3D光造形技術による多様な形状を有する機能性透明シリカガラスの開発」
藤野茂(九州大学グローバルイノベーションセンター)
参加者:11名
第2回委員会(通算第48回)(研究会)
(2023年10月16日,京都大学桂キャンパスA2棟303講義室)
[講演](2件)
“Controlling Spatial Patterns in Plasmonic Nanodevices”
Kenzo Yamaguchi (Tokushima University, Japan)
“Manipulating Light Emission by Resonantc-Si Metasurfaces”
Shaojun Wang (Soochow University, China)
参加者:14名
第3回委員会(通算第49回)(研究会)
(半導体エレクトロニクス部門委員会との合同研究会)
(2023年11月25日,立命館大学 朱雀キャンパス 1F 多目的室2)
[基調講演](1件)
「SiC JFET を用いた厳環境動作相補型論理回路」
金子 光顕(京都大学 大学院工学研究科)
[一般講演](5件)
@ 「Tb添加AlGaN/GaNコアシェルナノワイヤの選択OMVPE成長とTb発光特性」
吉村 拓真, 舘林 潤, 佐藤 和久, 市川 修平, 藤原 康文(阪大院工, 量子情報・量子生命研究センター, 阪大超高圧電顕センター)
A 「ダブルトンネル接合を内包する半導体ヘテロ構造における断熱的フォトンアップコンバージョンによる太陽電池の出力電圧上昇効果」
松沢 光一郎, 朝日 重雄, 喜多 隆(神戸大院工)
B 「高アスペクト比Eu添加GaNコアシェルナノワイヤの選択OMVPE成長とEu発光特性」
羽田 頼生, 舘林 潤, 吉田 遼, 坂部 士昂, 市川 修平, 芦田 昌明, 藤原 康文
(阪大院工, 量子情報・量子生命研究センター, 阪大超高圧電顕センター, 阪大院基礎工)
C 「燃料電池セパレータ応用を目指したITO 薄膜成長に関する研究」
服部 太政, 田中 孝, 大塚 知紀, 清水 悠吏, 荒木 努, 金子 健太郎
(立命館大学理工学研究科, アイテック株式会社, 立命館大学総合科学技術研究機構)
D 「Sb ドープSnO2 薄膜のキャリア密度制御と縦型ショットキーバリアダイオードの試作」
高橋 由依, 高根 倫史, 泉 宏和, 若松 岳, 磯部 優貴, 金子 健太郎, 田中 勝久(京大, 兵庫県立工業技術センター, 立命館大)
参加者:20名
また,「材料」誌において「講座」を担当することを決定し,執筆の依頼を行った.具体的には以下の内容で企画を進めた.
講座名: ナノ材料の基礎と応用(Fundamentals and Applications of Nanomaterials)
第1回:「 分析化学におけるナノ材料」 大塚 浩二(京都大学)
第2回:「 5d遷移金属酸化物におけるスピントロニクス機能の開拓」
上田 浩平,松野 丈夫(大阪大学)
第3回:「遷移金属窒化物のホットキャリアを用いた応用」
石井 智(物質・材料研究機構)
それぞれ,「材料」誌の2024年4月号,5月号,6月号に掲載予定である.
生体・医療材料部門委員会 |
近年,医学・医療分野と材料科学・機械工学分野を結合した学際領域の研究が大きく前進し,生体機能に関する基礎的研究から患者の治療を中心にした臨床的な応用研究まで,多くの異なる専門領域にまたがる共同研究や研究交流が積極的に展開されている.整形外科,外科,歯科など医学分野では人工の置換材が用いられることが多くなってきた.また,X線透視,CT,MRI などを用いた低侵襲治療の普及・開発に伴うX 線透過性や非磁性などを有する医療器具,車椅子などの補助・福祉機材,義手・義足などの義肢装具等,生体・医療分野においてそれぞれの要求に合った材料開発や利用技術の確立の必要性が叫ばれている.これらの生体材料・医療材料については,比強度・比剛性に優れた材料,耐環境性に優れた材料,生体適合性に優れた材料,成形性に優れた材料など,多種多様な機能や特性が要求されるので,材料科学・医学・生物学・化学・機械工学などさまざまな分野の研究者,技術者を融合した研究開発システムの構築が不可欠となっている.また,このような分野の材料は直接人間の生命に直結するので,十分な機能と高い安全性・信頼性を保証する必要があり,そのための技術の確立,ならびにその標準化に対する要求が一段と強くなっている.このように「材料学」を共通の土俵にして,種々の分野の研究者・技術者が分野横断的に参集し,活発な学会活動を展開している点が本学会の一つの特徴である.現在の登録委員数は32 名であり,若手の研究者を中心として活動を活発化している.
2023年度の活動は以下のとおりである.
生体・医療材料部門委員会例会
(2023年9月15日,東北大学青葉山キャンパス+オンライン開催)
東北大学 上田恭介氏,成島尚之氏
「ドライプロセスによるチタンの抗菌機能化表面処理」
東北大学 奥山武志氏
「手指の動作・感覚の計測」
東北大学 水谷正義氏
「加工によるバイオインターフェース創成の可能性」
生体・医療材料部門委員会例会
(2023年11月29日,大阪公立大学I-Siteなんば+オンライン開催)
大阪大学 小笹良輔氏
【日本材料学会令和4年度学術奨励賞受賞講演】
「生体骨と金属材料における結晶集合組織形成に関する研究」
大阪公立大学 弓場英司氏
「機能性高分子で表面修飾したリポソームや金属ナノ粒子による免疫誘導システムの設計」
大阪公立大学 瀧川順庸氏
「電解析出法による高強度・高延性ナノ結晶合金の作製と生体材料への応用」
2024年度の活動として,第73期学術講演会でのオーガナイズドセッション「生体・医療・福祉材料」と4回の部門委員会例会を予定している.加えて,医療材料や細胞・生体組織に関する話題をテーマとして,他部門・支部・生体医療材料系の他学会・協会と共催での講演会の開催も検討中である.なお,本部門委員会では,独創的な研究の奨励と若手研究者の育成を目的として,「日本材料学会生体医療材料部門研究奨励賞」を設け,毎年度の優秀な若手研究者を顕彰している.生体・医療材料に関わる基礎あるいは応用研究の業績を幅広く対象とし,応募者がその研究の構想や遂行に重要な役割を果たしたものであることを応募の条件としている.応募資格は,日本材料学会正会員(授賞時点)であり,2025年4月1日時点で満40歳未満の方を対象としている.ただし,医学・歯学または獣医学を履修する博士課程修了者の方,ライフイベントにより研究中断の期間がある方,留学等による海外滞在期間のある方などについては,応募者からの申請に基づき,年齢制限(40歳未満)の緩和を行う.詳細は,本部門の幹事委員まで問い合わされたい.
金属ガラス部門委員会 |
我が国では,これまで鉄鋼材料を中心とした社会基盤材料が多種多様な産業界の発展に多大な貢献を果たしてきた.今後さらなる産業界の持続的発展を維持するためには,超高強度材料,超長寿命材料や超軽量材料などの革新的先進材料の普及が必須である.現在,注目されている革新的先進材料として,我が国が世界的にリードし,かつ社会基盤構材料として将来性の高い「金属ガラス」および「ハイエントロピー合金」がある.金属ガラスはその誕生から三十数年を迎えようとしているが,21世紀に期待される構造材料および機能材料の一つとして,全世界で基礎的および応用の両面から研究が行われている.また,ハイエントロピー合金は2004年に発見され,現在注目を集める新材料である.本部門委員会では,「金属ガラス」および「ハイエントロピー合金」を実用化するために必要な材料的信頼性確保のため,基礎的物性の理解や,材料科学の分野で精力的に研究されている構造と安定性に関する知見との融合を計り,金属ガラスおよびハイエントロピー合金の材料の体系化をはかることを目的としている.今後,本部門委員会が取り組む重点的研究課題として,以下の2つを掲げる.
これらの研究課題の進展を目標に,本部門委員会では以下の4つの事業を展開する.
本部門委員会は,2007年1月19日に第1回委員会を開催し,本部門委員会の方針について討議し,活動を開始した.2023年度(令和5年度)は対面形式で下記の活動を行った.
合同講演会主催:令和5年11月1日,粉体粉末冶金協会金属ガラス・ナノ金属結晶材料委員会との合同講演会を北海道大学工学部にて開催した.下記の3名の講師による招待講演を行った.
令和5年度優秀発表賞:第58回金属ガラス部門委員会(令和5年10月10日)において下記の部門賞受賞者を決定した.
第9回材料WEEKワークショップにおける口頭発表から
「回折図形の時空間分布を用いた金属ガラスの動的・構造不均一性の関連の解明」
中澤 克昭 先生(物質材料研究機構)
本部門委員会では幅広い分野の技術者,研究者の参加を促すために研究会の門戸を開いている.また,材料学会部門委員会間の共同委員会開催,他学協会との協賛・共催研究会も積極的に開催している.このような活動を通して金属ガラス・ハイエントロピー合金のメタラジーに関する議論の場を提供し,できるだけ多くの人にその問題点を明らかにして解決に向けた取り組みを促進させたいと考えている.金属ガラス・ハイエントロピー合金の構造・機能材料としての信頼性確保や実用化に興味がある方々の積極的な参加を期待している.本委員会への問い合わせは,事務局まで申し出ていただきたい.