公開部門委員会
第347回疲労部門委員会
「『疲労に関する表面改質分科会』における取組と今後の展望」
オンライン開催

主催

日本材料学会 疲労部門委員会

共催

疲労に関する表面改質分科会

期日

2021年10月15日(金) 13:00〜16:40

会場  → オンライン開催となりました.

オンライン開催 

趣旨

材料の損傷(疲労,摩耗,腐食など)は表面で生じることが多く,産業界では材料の諸特性改善のために様々な表面改質プロセスが実用されています.今回は「『疲労に関する表面改質分科会』における取組と今後の展望」と題し,「材料WEEK」の企画に基づいた公開部門委員会(共催:疲労に関する表面改質分科会)を開催いたします.2016年5月に『疲労に関する表面改質分科会』が設立して以来,本分科会では表面改質材の疲労限度推定式を確立するための2つのプロジェクトを産学連携で推進しています.今回は,浸炭焼入れプロジェクトに関連する研究成果を中心に話題提供をいただき,意見交換を行いたいと考えております.疲労部門委員会の委員のみならず,表面改質に関心をお持ちの方々のご参加をお待ちしております.

プログラム

1. 13:00〜13:30 疲労部門委員会ビジネスミーティング

2. 13:30〜16:40 研究討論会

(1) 13:30〜13:50
『疲労に関する表面改質分科会』の活動紹介

静岡大学 菊池 将一 氏
(『疲労に関する表面改質分科会』主査)

『疲労に関する表面改質分科会』設立の背景には,対象材料の特性や疲労特性評価手法が多岐にわたり,表面改質プロセスの選定に関して統一的な見解が得られていないという課題がある.そのため本分科会では,浸炭焼入れや高周波焼入れ,各種ピーニングを一括でオーガナイズし,創意工夫を凝らした「表面改質モデル材」を用いて疲労特性に及ぼす各種因子の影響を切り分けた検討を行っている.本講演では,『疲労に関する表面改質分科会』の具体的な活動内容について紹介する.

(2) 13:50〜14:30
浸炭焼入れプロジェクトの概要説明およびビッグデータ解析

豊田工業高等専門学校 中村 裕紀 氏
(『疲労に関する表面改質分科会』幹事)

『疲労に関する表面改質分科会』では,共通材料であるクロムモリブデン鋼SCM420Hに浸炭焼入れを施した試験片を作製し,分科会委員の所属する各研究機関で疲労試験を実施するプロジェクトが進行している.単に浸炭焼入れを施すのみならず,各研究機関独自の表面処理や仕上げも施し,各種表面処理や仕上げ方法により変化する表面性状が浸炭焼入鋼の疲労特性に及ぼす影響について調査している.本講演では,各研究機関で得られたSCM420Hの疲労試験結果を集約し,日本材料学会金属材料疲労強度データ集&データベースに収録されているSCM420Hの疲労試験データと併せて解析した結果について紹介する.

(3) 14:50〜15:30
二圧子法を用いた浸炭焼入れ材の局所力学特性評価

青山学院大学 蓮沼 将太 氏
(『疲労に関する表面改質分科会』委員)

表面改質層の力学特性は,圧縮残留応力の解放や疲労特性に影響を及ぼす.そのため,表面改質層の力学特性を評価することすることは,表面改質材の疲労強度評価のために重要である.特に,有限要素法解析を用いたり,圧縮残留応力の解放を詳細に検討するためには,表面改質層の応力ひずみ関係を測定することが求められる.しかし,表面改質層の厚さは数十μmと薄く,応力ひずみ関係を推定するのは難しい.本講演では,インデンテーション法を用いた局所力学特性評価手法である2圧子法を適用することで,浸炭焼入れ材の表面改質層の応力ひずみ関係を推定した結果について紹介する.

(4) 15:30〜16:10
X線応力その場測定を用いた圧縮残留応力解放挙動の分析

慶應義塾大学大学院 羽山 元晶 氏
慶應義塾大学 小茂鳥 潤 氏
(『疲労に関する表面改質分科会』委員)

表面改質により生起された圧縮残留応力は,材料の疲労特性を向上させるが,使用期間中に解放することがあり,その効果を維持できない場合がある.圧縮残留応力は疲労負荷の1サイクル目で大きく解放することが知られている.そこで応力負荷下でも残留応力の測定が可能な「X線応力その場測定」を構築し,疲労負荷の1つのサイクル中での圧縮残留応力の解放挙動を測定している.また浸炭焼入れを行なった試験片など,様々な試験片の圧縮残留応力の解放挙動を比較し,疲労特性改善に有効な「安定な圧縮残留応力」を生起する上で重要となる因子について検討を行なっている.

(5) 16:10〜16:40 総合討論

参加費

無料

事前登録制.
参加ご希望の方は疲労部門委員会庶務幹事(secfatigue@fatigue.jsms.jp)までメールにてご連絡ください.[参加受付期限:10/8(金)まで]

参考資料

会誌「材料」2021年2月号(Vol.70, No.2, pp.204)に,『疲労に関する表面改質分科会』活動の紹介記事が掲載されております.併せてご参照ください.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsms/70/2/70_204/_article/-char/ja

注意事項

新型コロナウィルスの感染拡大状況によっては,会場とオンラインのハイブリッド開催もしくはオンライン開催に変更となる可能性がございます.→オンライン開催に変更となりました.