公開部門委員会
第359回疲労部門委員会
「疲労に及ぼす微視組織の影響とモデリング」
主催
日本材料学会 疲労部門委員会
期日
2024年10月8日(火)13:00〜17:00
会場
京都テルサ 東館3階第2セミナー室(ROOM 1)
〒601-8047 京都市南区東九条下殿田町70番地
TEL 075-692-3400
https://www.kyoto-terrsa.or.jp/
交通
JR線「京都駅」八条口から徒歩約15分,近鉄「東寺駅」から徒歩約5分,京都地下鉄「九条駅」から徒歩約5分,市バス「九条車庫」南へすぐ
趣旨
疲労のメカニズムの解明には,微視組織の影響を理解することが重要です.近年では実験に加えて数値シミュレーション手法によって微視組織の疲労挙動に与える影響の解明が進んでいます.今回は「疲労に及ぼす微視組織の影響とモデリング」と題し,「材料WEEK」の企画に基づいた公開部門委員会を開催いたします.本会では,上記主題に即して疲労損傷とそのモデリングに関する計3件の話題提供による研究討論会を企画しました.疲労部門委員会の委員のみならず,金属組織の最適化が材料の耐久性向上に関心をお持ちの方々のご参加と,積極的な意見交換を期待しております.
プログラム
1. 13:00〜13:30 疲労部門委員会ビジネスミーティング
2. 13:30〜17:00 研究討論会
(1) 13:30〜14:30
鉄鋼材料の疲労寿命予測を実現するマルチスケール統合化モデル
東京大学 柴沼 一樹 氏
本研究では、鉄鋼材料の微視組織因子・引張特性・外力条件を入力として、高精度にその疲労寿命・疲労限を予測可能なマルチスケールモデルを開発した。本モデルは、「巨視的有限要素解析」・「微視組織」・「微小亀裂進展」に対するサブモデルにより構成され、事前に得られた実験事実に基づき亀裂進展のみに立脚して疲労寿命を評価する。結晶粒径・化学成分の異なる3鋼種・4種類の試験片を用いた系統的な疲労試験を対象にして厳格な妥当性検証を行い、提案するマルチスケールモデルが一切の合わせ込みのパラメータを要することなく、全ての条件の疲労試験を高精度に予測可能であることが示された。
(2) 14:30〜15:30
Ni基超合金のDwell-Fatigueき裂進展に与える引張保持の影響と結晶粒界の役割
宇宙航空研究開発機構 鈴木 子游 氏
ガスタービンの高温高圧材料として用いられるNi基超合金は,タービンの起動・停止に伴いDwell-Fatigue負荷が加わる.これにより生じるDwell-Fatigueき裂進展はクリープ・疲労・環境の効果が相互に作用し,複雑な現象となる.本研究では,ブレード用の単結晶材とディスク用の鍛造材という異なる微視組織を持つNi基超合金を対象に,純粋な疲労負荷中に単発の引張保持を導入するき裂進展試験を行い,引張保持の影響の抽出を試みた.その結果,材料や引張保持時のK値に依存して,引張保持の後に疲労き裂の遅延または加速が生じた.微視組織観察や有限要素解析により,遅延・加速とその間の遷移が生じるメカニズムを解明し,き裂進展速度や遷移挙動の定量化を行った.
<休憩>15:30〜15:45
(3) 15:45〜16:45
純鉄の疲労特性に及ぼす結晶方位とSi添加量の影響機構
日本製鉄(株) 早川 守 氏
純鉄は体心立方格子構造を有する鉄鋼材料における疲労強度発現機構を理解する上で基準となる材料である.この純鉄を基準として各種強化機構が疲労強度に発現に及ぼす影響度を定量的に評価・予測できれば,鉄鋼材料の疲労強度予測や材料開発への活用が期待できる.本報では純鉄材を対象にした疲労き裂進展試験と純鉄/Fe-3Si材を対象としたせん断疲労試験を行い,結晶方位およびSi添加量が疲労特性に及ぼす影響を評価した.試験結果をもとに結晶塑性解析による結晶方位およびSi添加量の影響の数値モデル化を試みた.
(4) 16:45〜17:00 総合討論
参加費
無料
事前登録制です.参加ご希望の方は,以下のいずれかの方法で回答してください.(1, 2推奨)
- フォームURL(https://forms.office.com/r/kS3bLjjVj4)で回答
- QRコードを読み込んで回答
- 庶務幹事(secfatigue@fatigue.jsms.jp)までメールにてご連絡
[参加受付期限:10/1(火)まで]