公開部門委員会
非破壊検査と材料の強度評価

企画

疲労部門委員会,破壊力学部門委員会合同

会場

室蘭工業大学 教育・研究10号館(S棟)S301

日時

平成31年5月24日(金)13:00〜17:10

趣旨

「非破壊検査と材料の強度評価」と題し,疲労部門と破壊力学部門の合同で公開部門委員会を企画いたしました.疲労を含む種々の破壊現象は材料に内在する欠陥に大きく影響されます.有効な破壊防止策を構築するためには,き裂の起点となる欠陥を事前にかつ定量的に評価することが不可欠であり,非破壊検査やその運用法は極めて重要な評価技術です.今回は,破壊力学部門委員会から推薦されたJAXAの杉本直先生,疲労部門委員会から推薦された日之出水道機器鰍フ池田朋弘氏,室蘭工業大学の清水一道先生に,本テーマに関する最先端の知見をご紹介頂きます.本企画により両部門委員会の連携を深め,材料強度評価に関わる研究の拡充と深化の機会を提供できればと考えます.両部門委員会委員の方々および本テーマに興味を持つ幅広い分野から多数の皆様のご参加をお願い申し上げます.

プログラム

  1. 13:00〜13:40 合同ビジネスミーティング
  2. 13:40〜13:50 疲労部門委員会部門賞・第34回疲労
    シンポジウム優秀研究発表賞贈呈式
  3. 14:00〜17:10 講演および討論

(1) 14:00〜14:50

複合材料の非破壊検査と検査事例

宇宙航空研究開発機構 杉本 直 氏

炭素繊維強化プラスチックに代表される複合材料の非破壊検査では超音波,X線,サーモグラフィ等の技術が使用されることが多いが,検査したい初期欠陥や損傷等の形態,寸法に合わせて適切な非破壊検査方法の選択が必要である.本講演では複合材料で検査対象となる初期欠陥や損傷等について説明し,実際にどのような手法が用いられているかの概説を行うとともに,超音波探傷装置,X線CTスキャナ,サーモグラフィを用いた複合材料の非破壊検査事例を紹介する.

(2) 15:00〜15:50

球状黒鉛鋳鉄の高サイクル疲労強度に及ぼす内引け巣の影響

日之出水道機器梶@池田 朋弘 氏

球状黒鉛鋳鉄製鋳物の最終凝固部には内引け巣が生じ易く,巣の寸法や分布によっては疲労強度への影響が懸念される.しかし,この問題について定量的に調査した研究は極めて少ない.そのため,引け巣を完全に抑制するために過剰な押し湯が必要となり,歩留りの低下及び仕上げ工数の増加を招く事例も見られる.本研究では,内引け巣を意図的に発生させた球状黒鉛鋳鉄の丸棒試験片で高サイクル疲労試験を行い,疲労強度に及ぼす内引け巣の影響を定量的に調査した.また,X線CT装置を用いて,予め各試験片内の引け巣の寸法と分布を明らかにした.

(3) 16:00〜16:50

鋳造材料の非破壊解析と強度評価

室蘭工業大学 清水 一道 氏

鋳造品は,鋳造シミュレーションソフトを用い,慎重に検討された鋳造方案を基に製造される.しかし,完全に欠陥の無い鋳造品を製造することは理論上不可能である.鋳造品の安全性を評価するためには,鋳造欠陥を事前に把握し,強度予測を行うことが必要である.そのため,鋳造品の欠陥位置予測と非破壊での欠陥調査及び強度評価手法の検討がなされている.本講演では,鋳造シミュレーションによる欠陥位置予測,産業用X線CTスキャナによる欠陥調査及び有限要素法解析などによる強度評価手法について解説する.

(4) 16:50〜17:10 総合討論