公開部門委員会
ピーニング処理を施した金属材料の疲労
企画
疲労部門委員会
会場
完全オンライン開催といたします
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日時
2021年5月28日(金)13:00〜17:00
趣旨
本部門委員会では,化学プラントの安全性・信頼性に関わる業績が評価され,内閣総理大臣賞を受賞された工学院大学名誉教授の木村雄二先生の特別講演を企画しました.我が国の化学コンビナートにおけるPSM(Process Safety Management)の現状と課題について貴重なご講演をいただきますので,幅広い分野から多数の皆様のご参加をお願い申し上げます.
さらに,「ピーニング処理を施した金属材料の疲労」と題した研究討論会を企画しました.金属材料の疲労特性改善手法として幅広い分野で利用されるピーニング処理に注目し,その疲労特性評価に関する最新の研究成果について2件のご講演をいただきます.疲労部門委員のみならず,本テーマに関連する様々な方々のご参加をお願い申し上げます.
プログラム
1. 13:00〜13:30 ビジネスミーティング
2. 13:30〜13:50 令和2年度疲労部門委員会部門賞贈呈式
3. 14:00〜15:00 内閣総理大臣賞受賞記念講演
我が国の化学コンビナートにおけるPSM(Process Safety Management)の現状と課題について
工学院大学名誉教授 木村 雄二氏
我が国の化学コンビ―ナートではこの10年の間に重大な事故を数多く経験しています.これらの事故撲滅のために種々の試みがなされており,その一つPSM(Process Safety Management) systemの確立とその高度化が挙げられます.本講演では,過去国内外の化学コンビナートで発生した重大事故の概要を紹介し,これらが非定常作業時に発生していること述べ,このため欧米で実施されたPSM systemの提案と規制の強化,民間組織として発足したCCPS等の事故対策を組織化する活動に言及する.
我が国でも,重大事故を分析した結果,(1)リスクアセスメントの必要性,(2)教育・技術伝承の再認識,(3)反応暴走の理解,の重要性が指摘された.これらを踏まえ,PSMの現状と課題について概説する.
4. 15:15〜17:00 研究討論会
「ピーニング処理を施した金属材料の疲労」
(1) 15:15〜16:00
金属材料の疲労特性に影響する諸因子とピーニング処理との関係
沖縄工業高等専門学校 政木清孝 氏
バネ鋼や浸炭鋼など,主として鉄系材料の疲労特性改善手法として用いられてきたピーニング処理であるが,材質によっては疲労特性改善効果が得られない場合もあり,必ずしも全ての金属材料に対して有効な処理であるとは限らない.金属材料の疲労破壊はさまざまな因子による影響を受けるため,ピーニング処理がそれらの影響因子にどのように関与しているかを知ることは,使用する材料にピーニング処理を適用するか否かを検討するうえで有用である.本講演では疲労初心者の方にも分かり易くその影響因子を紹介するとともに,過去の非鉄金属を対象としたピーニング処理材の疲労特性調査結果を引用しながら,ピーニング処理がそれらの影響因子にどのように関与しているか紹介する.
(2) 16:00〜16:45
粒子衝突処理を施したTi-6Al-4V合金の疲労強度支配因子の解明
京都工芸繊維大学 武末翔吾 氏
ショットピーニングなどの粒子衝突処理は,金属材料の疲労強度を向上させるために広く利用されている.粒子衝突処理を施すと,被処理材の表面性状,硬さ,微視組織,残留応力分布など,様々な特性が変化し,それらの複合効果として疲労強度が向上する.そのため,被処理材の疲労強度を支配する因子の特定が困難である.本講演では,広く使用されているチタン合金であるTi-6Al-4Vに対し,投射粒子の粒径などを変化させて粒子衝突処理を施し,被処理材の表面特性と疲労特性を調査した結果を示し,粒子衝突処理を施したTi-6Al-4V合金の疲労強度を支配する因子の解明を試みた研究を紹介する.