信頼性フォーラム
最新情報処理技術を駆使した 新しい信頼性・安全性
企画
信頼性工学部門委員会
会場
オンライン会議
日時
令和3年5月30日(日)9:00〜12:00
趣旨
信頼性工学では,収取されるデータから推定される確率モデルを基本に,材料や構造物の信頼性・安全性を評価している.近年生産から消費まであらゆる階層において,効率化や高性能化を目指し,コンピュータ利用が進んでいる.機械や電子部品のような室内にとどまらず,土木建築構造物においても,UAVやレーザを援用した測量技術が高度化し,それらからの計測データを利用した施工,保全が進められている.特に社会システムの機能維持に向けて,設計,保全にとどまらず,防災・減災分野においても,これらの大量のデータに対してAIを援用してより高度な信頼性・安全性の探求が活発に行われている.
本フォーラムにおいては,防災・減災分野でAI活用に取り組まれ民間を含めたオープンコンソーシアムを創立,運営をされている茨城大学教授 齋藤修氏にAI防災についての基調講演をいただき,AIの防災・減災分野への展開の動向を紹介いただく.また,保守保全分野へのAI展開についてのご講演,VRを活用した防災人材育成についてのプロジェクトならびに災害レジリエンスに関する研究発表をいただく.このようにAI,IOTなどの新しい情報処理技術を駆使した広義の信頼性・安全性確保への研究動向について議論する.
プログラム
オーガナイザー
白木渡,井面仁志,三好哲也
挨拶・趣旨説明 (9:00〜9: 05)
三好哲也(阪南大学)
基調講演 (9:05〜10:05)
センサネットワークとAI による近未来防災システムの可能性
茨城大学 工学部 教授
齋藤 修 氏
近年,i-Constructionの推進にみられるように土木現場でのICT導入が進んでいる.IoTやAI(人工知能:Artificial Intelligence),UAVの自動飛行による測量や3次元データの活用が活発である.これらの革新的な技術はさまざまな応用が可能であり,防災システムにも有効な手段である. 気候変動による日本への大型の台風上陸や頻繁な豪雨の発生など,災害予測による,防災・減災・縮災は緊急の課題である.茨城大学ではAIを利用した近未来防災システムの基礎研究を企業と共同で進め,全国の自治体の意見や要望を聞きながらシステムの構築を検討している.AIを用いた防災システムの現状と可能性について述べる.
< 休 憩 > (10:05〜10:20)
一般講演(1) (10:20〜10:50)
深層学習を活用した社会インフラ系の構造異常診断
立命館大学
野村 泰稔 氏
社会インフラに対するマネジメントの重要性は周知の通りであるが,建設技術者がますます減少していくことを想定し,社会インフラ構造物の調査・点検・施工においてAIの積極的な活用が期待されている.本講演では,AIの中でも特に深層学習の現状に触れ,深層学習を活用した社会インフラの点検・異常診断技術の研究動向について解説する.
一般講演(2) (10:50〜11:20)
防災分野における人材養成へのVRの活用
香川大学
井面 仁志 氏
東日本大震災以降,“想定外の事態に至っても,適切に状況を判断・行動して生きぬく力を育成する”ことを目指して様々な訓練が実施されてきている.災害時に適切な判断・行動を行うためには,災害に対する知識はもちろんの事,正しい知識に基づいた適切な対応行動が求められる.本講演では,災害時に適切な対応行動がとれる人材を養成するための訓練におけるVRの活用事例の紹介を行う.
一般講演(3) (11:20〜11:50)
グラフ理論を用いた道路ネットワークの評価と物資拠点に関する分析
香川大学
高橋 亨輔氏 氏
災害時の被災地域の早期復旧を考える上で,救急搬送や物資搬送など様々な復旧活動の基盤となる道路の早期復旧は重要である.近年,グラフ理論の考え方を基に脆弱性や移動効率など道路のネットワーク構造を分析する研究が実施されている.本講演では,これらの研究を紹介するとともに香川県における物資拠点への適用事例を検討する.