公開部門委員会
NIMSにおける疲労研究の取り組み

企画

疲労部門委員会

形式

現地対面+オンライン

会場

つくば国際会議場 201B(中会議室)

オンラインツール

zoom

日時

2023年5月28日(日)13:00〜17:00

趣旨

物質・材料研究機構NIMSは物質・材料に関する研究に特化した国立研究法人です.疲労研究に関しても,多くの疲労研究者が所属しており,最先端の研究を行っています.そこで,本部門委員会では「NIMSにおける疲労研究の取り組み」と題した研究討論会を企画しました.NIMSで行っている最新の疲労研究について,「疲労データシート」「複合材料の疲労」「制振ダンパの開発」に関する3件のご講演をいただきます.委員の皆様のみならず,関連分野の研究者及び技術者の皆様の参加をお待ちしております.

プログラム

1. 13:00〜13:30 ビジネスミーティング

2. 13:30〜13:50 R4年度疲労部門委員会部門賞・第35回疲労シンポジウム優秀研究発表賞贈呈式

3. 14:00〜17:00 研究討論会
「NIMSにおける疲労研究の取り組み」

(1)14:00〜14:45
疲労データシートと関連研究

物質・材料研究機構 構造材料研究拠点
疲労特性グループ
リーダー 古谷佳之 氏

近年の疲労データシートは,ギガサイクル疲労を主な課題としている.ここでは,100 Hzで3年かけて取得した1010回までの試験結果と20 kHz(超音波疲労試験)で取得した結果を比較可能な形で提供している.材料は,高強度鋼,チタン合金,アルミニウム合金である.関連研究では,これらの結果を用いた試験技術の検討やメカニズム解明を行っている.ギガサイクル疲労強度の予測式の提案や1011回疲労試験による疲労限の実証等が最近の成果である.また,関連研究には規格標準化活動等もある.本講演では,このようなギガサイクル疲労関連の研究成果を中心に話題提供を行う.

(2)14:45〜15:30
NIMSにおける接着継手および複合材料の疲労特性評価への取り組み

物質・材料研究機構 構造材料研究拠点
高分子系ハイブリッド複合材料グループ
リーダー 内藤公喜 氏

接着継手および複合材料,特に,炭素繊維強化樹脂複合材料(CFRP)は,軽量性や強度に優れることから金属に替わる次世代材料として需要増加が期待されています.しかし,製造条件や材料の種類によって,その強度や耐久性が異なるなどの性質を有しています.強度や耐久性評価は材料開発以上に忍耐力と地道な努力が必要な信頼性評価技術の1つです.また、この評価結果がなければ,本材料を用いた製品の実用化が進まず,使われてこそ材料には至りません.本講演では,NIMSでの接着継手および複合材料の疲労特性評価への取り組みについての居つくかの例を挙げて示します.

(3)15:45〜16:30
極大地震から建物を守るNIMSの耐疲労合金開発

物質・材料研究機構 構造材料研究拠点
耐疲労合金設計グループ
リーダー 澤口孝宏 氏
吉中奎貴 氏

近年,建築物の耐震設計では数千年に一度の極めて大きい地震(極大地震)まで考慮することが求められる場合がある.海溝型巨大地震の揺れの特徴として大きい揺れが長時間継続する長周期長時間地震動が生じることが指摘されている.この場合,建造物の損傷メカニズムとして低サイクル疲労が重要であることは明らかである.そこでNIMSでは長周期長時間地震動に主眼を置いた繰返し弾塑性変形に対し優れた疲労寿命を示す鋼材開発に取り組んできた.本講演では双方向マルテンサイト変態がカギとなる耐疲労鋼設計とその適用事例とともに、実用上重要である溶接施工を考慮した成分設計等の最近の開発内容についても紹介する.

(4)(16:30〜17:00) 総合討論